ステント留置に工夫を要した胃癌術後吻合部再発の1例
「はじめに」今回, 我々はステント留置に工夫を要した胃癌術後吻合部再発の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:90歳, 男性. 主訴:嘔吐, 食欲不振. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:77歳, 胆石症にて胆嚢摘出術. 84歳, 胃癌にて幽門側胃切除術. 87歳, 上行結腸癌にて右半結腸切除術. 現病歴:平成6年, 胃癌にて幽門側胃切除, Billroth-I法再建術施行. 以後, 外来にて経過観察していたが, 平成12年3月頃より嘔吐, 食欲不振出現し, 徐々に症状悪化. 同年4月には経口摂取不能となり, 4月11日当科入院となった. 入院後経過:入院時上部消化管造影(Fig.1...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 59; no. 2; pp. 80 - 81 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.59.2_80 |
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Summary: | 「はじめに」今回, 我々はステント留置に工夫を要した胃癌術後吻合部再発の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:90歳, 男性. 主訴:嘔吐, 食欲不振. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:77歳, 胆石症にて胆嚢摘出術. 84歳, 胃癌にて幽門側胃切除術. 87歳, 上行結腸癌にて右半結腸切除術. 現病歴:平成6年, 胃癌にて幽門側胃切除, Billroth-I法再建術施行. 以後, 外来にて経過観察していたが, 平成12年3月頃より嘔吐, 食欲不振出現し, 徐々に症状悪化. 同年4月には経口摂取不能となり, 4月11日当科入院となった. 入院後経過:入院時上部消化管造影(Fig.1)では吻合部から十二指腸下行脚に一致して全周性の狭窄を認め, 造影剤はほとんど残胃に貯留し, わずかに十二指腸へ流出するのみであった. 入院時内視鏡検査(Color 1-a,b)では, 吻合部を中心にType 2の腫瘍を全周性に認め, 腫瘍は十二指腸側に連続していた. 狭窄が強く, 内視鏡の通過は不可能であった. 同部よりの生検にてadenocarcinomaを認めたため, 胃癌術後吻合部再発と診断した. 患者は90歳と高齢で, 全身状態も不良なため, 手術不能と判断し, 治療としてステント挿入術を選択した. ステントはUltraflex, 長径10cm, bareタイプを使用した. 通常どおり, 内視鏡下に拡張後, 狭窄部にガイドワイヤーを挿入し, デリバリーシステムを挿入しようとしたが, デリバリーシステムが胃内でたわみ, 狭窄部を通過しなかった. |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.59.2_80 |