術後難治性単純性潰瘍に対するエタノール散布療法の治療経過

症例は69歳, 男性. 下血に対し腸切除を施行され, 18年後吻合部出血性潰瘍に対し吻合部の再切除を施行. その後も下血を反復し, 6年間に11回の入退院を要した. 12回目の入院時, 大腸内視鏡下に無水エタノールを散布した. その後潰瘍の改善を確認したが, 6カ月後新たな多発小腸潰瘍を形成し出血した. 難治性単純性潰瘍に対する無水エタノール散布療法は有効であったが, 再発の予防には便の性状安定化が有用と考えられた. 緒言 小腸に発生した単純性潰瘍に対する治療法は未確立であるが, 無水エタノール散布の有用性が報告されている. 同療法施行症例を経験し, 潰瘍の寛解および新たな潰瘍の出現等の経過を...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 67; no. 2; pp. 96 - 97
Main Authors 関根, 慎一, 竹田, 泰, 富田, 剛治, 児島, 辰也, 辻, 修二郎, 眞野, 恵美子, 安部, 幸一, 片平, 誠一郎, 柳澤, 文彦, 水口, 泰宏, 土屋, 智昭, 大場, 信之, 西中川, 秀太, 神山, 公希, 瀧川, 拓人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2005
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.67.2_96

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Summary:症例は69歳, 男性. 下血に対し腸切除を施行され, 18年後吻合部出血性潰瘍に対し吻合部の再切除を施行. その後も下血を反復し, 6年間に11回の入退院を要した. 12回目の入院時, 大腸内視鏡下に無水エタノールを散布した. その後潰瘍の改善を確認したが, 6カ月後新たな多発小腸潰瘍を形成し出血した. 難治性単純性潰瘍に対する無水エタノール散布療法は有効であったが, 再発の予防には便の性状安定化が有用と考えられた. 緒言 小腸に発生した単純性潰瘍に対する治療法は未確立であるが, 無水エタノール散布の有用性が報告されている. 同療法施行症例を経験し, 潰瘍の寛解および新たな潰瘍の出現等の経過を得たので報告する. 症例 患者:69歳, 男性. 現病歴:1970年(34歳時)下血に対し他院にて腸切除を施行されている. 1998年吻合部出血性潰瘍に対し吻合部切除および再吻合を施行. この時の病理組織学的検査ではCrohn病等に特徴的な所見を認めず, 単純性潰瘍と診断されている.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.67.2_96