2群リンパ節転移を認めた早期小胃癌の1例
「はじめに」今日, 診断・治療技術の進歩とともに, 早期胃癌, 特に粘膜内癌(M癌)の治療選択の幅が広がってきている. 現在, 胃癌治療ガイドラインによるEMRの適応は, 分化型M癌, 2cm以下, UL(-)であるが1), 未分化型M癌への適応拡大も議論されている. 一方, 頻度としては少ないものの, 腫瘍径1cm以下のいわゆる小胃癌でもリンパ節転移を来す症例が報告されている2). 今回われわれは, 深達度mで直径9mmの小胃癌において2群リンパ節転移を呈した症例を経験した. 今後, 縮小手術適応を考慮する上で貴重な症例になると考え, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」症例:65歳, 女...
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| Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 63; no. 2; pp. 78 - 79 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
| Subjects | |
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| ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
| DOI | 10.11641/pde.63.2_78 |
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| Summary: | 「はじめに」今日, 診断・治療技術の進歩とともに, 早期胃癌, 特に粘膜内癌(M癌)の治療選択の幅が広がってきている. 現在, 胃癌治療ガイドラインによるEMRの適応は, 分化型M癌, 2cm以下, UL(-)であるが1), 未分化型M癌への適応拡大も議論されている. 一方, 頻度としては少ないものの, 腫瘍径1cm以下のいわゆる小胃癌でもリンパ節転移を来す症例が報告されている2). 今回われわれは, 深達度mで直径9mmの小胃癌において2群リンパ節転移を呈した症例を経験した. 今後, 縮小手術適応を考慮する上で貴重な症例になると考え, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」症例:65歳, 女性. 主訴:心窩部痛. 既往歴:特記事項なし. 家族歴:父, 胃癌. 現病歴:心窩部痛を主訴とし, 近医を受診したところ, 胃癌を指摘され, 精査加療目的にて当科紹介受診となった. 上部消化管造影:胃角部前壁に径10mmのllc型早期胃癌を認めた(Color 1). 上部消化管内視鏡:胃角部前壁に径8mmの潰瘍瘢痕を伴った, 浅い陥凹性病変を認めた. やや白色調, 中央は発赤顆粒状, 輪郭は不明瞭であり, 未分化型癌, IIC, ul(+)と診断した. 生検による病理組織学的診断でsignet ring cell carcinomaと診断された. 「手術・病理組織学的診断」未分化型癌, IIc, ul(+)であり開腹胃切除の適応と判断した. 術後病理組織診断にてsignetring cell carcinoma, pT1(M), ul II, 最大径9mm, n2リンパ節転移陽性と診断された(Table 1, Color 2). |
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| ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
| DOI: | 10.11641/pde.63.2_78 |