特発性食道粘膜下血腫が原因と考えられた食道粘膜剥離症の1例

「はじめに」 食道粘膜剥離症とは, 何らかの機序により, 組織が粘膜下層において剥離し, 粘膜層が筋層から剥離された病態とされている. 特発性食道粘膜下血腫が誘因と考えられた食道粘膜剥離症の1例を経験したので報告する. 「症例」 患者:70歳代, 女性. 主訴:前胸部痛. 既往歴:子宮筋腫, 白内障, 下肢静脈瘤. 生活歴:飲酒歴, 喫煙歴なし. 家族歴:特記事項なし. 現病歴:全身麻酔下で, 下肢静脈瘤切除術を施行され, 抜管直後から嘔吐および激しい前胸部痛を認めた. 翌日, 黒色便を認めたが胃洗浄にて凝血塊を認めず, 黒色便は一回のみであったことから, 上部消化管内視鏡検査(esophag...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 83; no. 1; pp. 96 - 97
Main Authors 大野, 亜希子, 林田, 真理, 倉田, 勇, 落合, 一成, 平野, 和彦, 田部井, 弘一, 山口, 康晴, 畑, 英行, 高橋, 信一, 太田, 博崇, 土岐, 真朗, 徳永, 健吾, 大倉, 康男, 神保, 陽子, 楠原, 光謹, 蓮江, 智彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 14.12.2013
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.83.1_96

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Summary:「はじめに」 食道粘膜剥離症とは, 何らかの機序により, 組織が粘膜下層において剥離し, 粘膜層が筋層から剥離された病態とされている. 特発性食道粘膜下血腫が誘因と考えられた食道粘膜剥離症の1例を経験したので報告する. 「症例」 患者:70歳代, 女性. 主訴:前胸部痛. 既往歴:子宮筋腫, 白内障, 下肢静脈瘤. 生活歴:飲酒歴, 喫煙歴なし. 家族歴:特記事項なし. 現病歴:全身麻酔下で, 下肢静脈瘤切除術を施行され, 抜管直後から嘔吐および激しい前胸部痛を認めた. 翌日, 黒色便を認めたが胃洗浄にて凝血塊を認めず, 黒色便は一回のみであったことから, 上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy:EGD)は施行されなかった. 退院後も前胸部痛は残存し, 術後約2週間後, 近医でEGDを施行したところ, 食道穿孔が疑われ, 当院外来紹介受診となった. 入院時現症:身長142.2cm, 体重47.7kg, 意識清明, 体温36.4℃, 血圧124/74mmHg, 脈拍80回/分・整, 眼瞼結膜:貧血なし, 眼球結膜:黄染なし, 胸部所見:前胸部に圧迫感あり, 肺雑音および心雑音を聴取しない, 腹部所見:平坦かつ軟, 圧痛なし, 反跳痛なし, 筋性防御なし, 腸蠕動正常.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.83.1_96