難治性神経障害性疼痛の運動機能局在と皮質興奮性の検討
「はじめに」慢性神経障害性疼痛は, 本邦で100万人以上の有病率と推測され, 患者の日常生活動作を阻害し, 医療費など社会保障費の増大だけでなく就労困難を招くなど社会的損失も多大である. 難治性疼痛に対する治療法として, 一次運動野電気刺激術や, 非侵襲的脳刺激法に代表される反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation; rTMS)による一次運動野刺激の除痛効果が報告されていることから, 一次運動野(M1)が疼痛の認知に関与している可能性が考えられる. 難治性疼痛の発現機序として, 脳機能画像の研究から疼痛認知や情動に関与する...
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Published in | PAIN RESEARCH Vol. 34; no. 1; pp. 57 - 64 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本疼痛学会
30.03.2019
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Subjects | |
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ISSN | 0915-8588 2187-4697 |
DOI | 10.11154/pain.34.57 |
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Summary: | 「はじめに」慢性神経障害性疼痛は, 本邦で100万人以上の有病率と推測され, 患者の日常生活動作を阻害し, 医療費など社会保障費の増大だけでなく就労困難を招くなど社会的損失も多大である. 難治性疼痛に対する治療法として, 一次運動野電気刺激術や, 非侵襲的脳刺激法に代表される反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation; rTMS)による一次運動野刺激の除痛効果が報告されていることから, 一次運動野(M1)が疼痛の認知に関与している可能性が考えられる. 難治性疼痛の発現機序として, 脳機能画像の研究から疼痛認知や情動に関与する脳内領域(疼痛ネットワーク)だけでなく, M1領域周囲の変化も報告されており, 運動系を加えた脳内ネットワークの不適切な機能再構築(maladaptation)が想定されている. さらに, M1を含む大脳皮質機能領域は, 脳卒中後の運動機能の回復過程において, 大脳皮質機能が再構築(cortical reorganization)されることが示されている. |
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ISSN: | 0915-8588 2187-4697 |
DOI: | 10.11154/pain.34.57 |