潰瘍性大腸炎関連腫瘍の検出に対する,腫瘍親和性物質を用いた光線力学的診断

潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis : UC)の長期経過症例におけるsurveillance colonoscopy(SC)は様々な内視鏡観察法が利用されているが,いまだに確立された方法はない。近年,脳神経外科や泌尿器科において腫瘍の存在診断に腫瘍親和性物質である5-aminolevulinic acid(5-ALA)を用いた光線力学的診断(photodynamic diagnosis : PDD)が行われている。UCに関連した腫瘍性病変の検出に関しては,5-ALAを用いたPDDの報告は限られ,その有用性については確立されていない。今回,我々はUC長期経過症例で5-ALAを使用...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 86; no. 1; pp. 83 - 86
Main Authors 井出, 大資, 菰池, 信彦, 加藤, 智弘, 三戸部, 慈実, 田尻, 久雄, 岩﨑, 哲良, 光永, 眞人, 猿田, 雅之, 松岡, 美佳, 有廣, 誠二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 13.06.2015
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.86.1_83

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Summary:潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis : UC)の長期経過症例におけるsurveillance colonoscopy(SC)は様々な内視鏡観察法が利用されているが,いまだに確立された方法はない。近年,脳神経外科や泌尿器科において腫瘍の存在診断に腫瘍親和性物質である5-aminolevulinic acid(5-ALA)を用いた光線力学的診断(photodynamic diagnosis : PDD)が行われている。UCに関連した腫瘍性病変の検出に関しては,5-ALAを用いたPDDの報告は限られ,その有用性については確立されていない。今回,我々はUC長期経過症例で5-ALAを使用し,腫瘍性病変の検出についてのPDDについて検討を行った。通常光による内視鏡観察では検出が困難であった病変について,5-ALAによる蛍光内視鏡による検出(PDD)が有効であった症例を経験した。特にlow-grade dysplasia病変での内視鏡観察では腫瘍辺縁に強い蛍光信号を示していた。この結果は,マウス大腸炎モデルで発生する腫瘍病変での蛍光信号と類似していた。今後,より多くの症例での検討が必要ではあるが,5-ALAを利用したPDDが,UCのsurveillanceとして有用である可能性が示唆された。
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.86.1_83