胃に穿通した肝膿瘍の1例
「和文要旨」症例は60歳男性, 平成20年5月下旬より心窩部不快感と発熱が続き, 6月26日に当科外来を受診した. 腹部CT検査で肝左葉の肝膿瘍と診断, 緊急入院となった. 肝膿瘍を穿刺, ドレナージし解熱, 症状も消失したが, 突然の心窩部痛があった. 造影検査とCT検査で胃への瘻孔形成が確認され, 内視鏡検査でも穿通部位を認めた. 肝膿瘍が消失し胃への瘻孔も閉鎖した. 肝膿瘍の消化管への穿通は稀であり報告する. 「はじめに」肝膿瘍は重篤な感染症で, 膿瘍の穿刺吸引, ドレナージを行い, 起因菌を特定して適切な抗生物質を投与することが予後改善のために重要である. 肝膿瘍の合併症として胸腔,...
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          | Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 74; no. 2; pp. 54 - 55 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
    
        2009
     日本消化器内視鏡学会関東支部会  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 1348-9844 2187-4999  | 
| DOI | 10.11641/pde.74.2_54 | 
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| Summary: | 「和文要旨」症例は60歳男性, 平成20年5月下旬より心窩部不快感と発熱が続き, 6月26日に当科外来を受診した. 腹部CT検査で肝左葉の肝膿瘍と診断, 緊急入院となった. 肝膿瘍を穿刺, ドレナージし解熱, 症状も消失したが, 突然の心窩部痛があった. 造影検査とCT検査で胃への瘻孔形成が確認され, 内視鏡検査でも穿通部位を認めた. 肝膿瘍が消失し胃への瘻孔も閉鎖した. 肝膿瘍の消化管への穿通は稀であり報告する. 「はじめに」肝膿瘍は重篤な感染症で, 膿瘍の穿刺吸引, ドレナージを行い, 起因菌を特定して適切な抗生物質を投与することが予後改善のために重要である. 肝膿瘍の合併症として胸腔, 腹腔, 心嚢への穿孔, 穿通が知られているが1), 消化管に穿通したとの報告は少ない. 我々は, 胃に穿通した肝膿瘍の1例を経験したので, 文献的考察を加え報告する. 「症例」患者:60歳, 男性. 主訴:発熱と心窩部不快感 既往歴・家族歴:特記すべきことなし 現病歴:平成20年5月下旬より39~40℃台の発熱と心窩部不快感を認めた. 感冒と考え総合感冒薬を内服していたが改善なく, 食欲不振も加わり6月26日に当科を受診した. 血液検査で白血球, CRP上昇と肝機能陣害を認め, 腹部CT検査で肝左葉外側の97×73×67mmの肝膿瘍と診断, 緊急入院となった. 入院時現症:体温37.3℃, 血圧125/80mmHg, 脈拍102回/分・整. 眼瞼結膜に貧血なく, 眼球結膜に黄疸なし. 胸部に異常所見なく, 腹部は心窩部に圧痛を認めたが, 肝腫大や反跳痛はなかった. | 
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| ISSN: | 1348-9844 2187-4999  | 
| DOI: | 10.11641/pde.74.2_54 |