モデル動物を用いた線維筋痛症の病態機構解明

「はじめに」 線維筋痛症(Fibromyalgia, FM)は全身性の疼痛を主症状とする慢性難治性疾患である. 中高年の女性に好発し, 本邦や欧米での罹患者は人口の約1.7~2%に相当するとされる. 自律神経症状や精神症状を高頻度に併発し, ADLやQOLの著しい低下を招く. 2003年, 厚生労働省に研究班が発足し, 本邦におけるFMの認知度は高まっている. また, アメリカリウマチ学会による診断基準発表を契機に論文数が急増しており(PubMedによる検索では, 2015年に年間約600報), 国際的な関心も高い. 近年, 複数のFMモデルが提唱され, 有効薬物の探索を目的とした行動薬理実験...

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Published inPAIN RESEARCH Vol. 32; no. 1; pp. 19 - 24
Main Author 田口, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 31.03.2017
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ISSN0915-8588
2187-4697
DOI10.11154/pain.32.19

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Summary:「はじめに」 線維筋痛症(Fibromyalgia, FM)は全身性の疼痛を主症状とする慢性難治性疾患である. 中高年の女性に好発し, 本邦や欧米での罹患者は人口の約1.7~2%に相当するとされる. 自律神経症状や精神症状を高頻度に併発し, ADLやQOLの著しい低下を招く. 2003年, 厚生労働省に研究班が発足し, 本邦におけるFMの認知度は高まっている. また, アメリカリウマチ学会による診断基準発表を契機に論文数が急増しており(PubMedによる検索では, 2015年に年間約600報), 国際的な関心も高い. 近年, 複数のFMモデルが提唱され, 有効薬物の探索を目的とした行動薬理実験が精力的に行われている. しかし, FMは一般的な生化学検査や画像診断では原因が特定されにくく, その病態機構は十分に解明されていない. 本総説では, FMの病態機構解明に有用であると考えられる動物モデルを簡単に紹介し, いくつかのモデルを用いて我々が得た最近の知見について概説する.
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.32.19