生体肝移植術後腸閉塞に対して腹腔鏡下癒着剥離術を施行した2例

「I. はじめに」 生体肝移植術は近年安全性が向上しつつあるものの, 術後には拒絶反応や胆道合併症をはじめとして, さまざまな合併症が起こりうることが知られている. 術後癒着に関連した腸閉塞は, 腹部外科手術後の合併症としてよく知られているものであるが, 生体肝移植術後の腸閉塞についての報告は少なく, 腹腔鏡手術を含めた適切な手術治療方針は明らかでない. 近年, 腹部手術後の腸閉塞に対する手術方法として腹腔鏡下癒着剥離術の有用性が報告されているが, 生体肝移植術後に生じた腸閉塞に対して同術式を実施した報告はない. 今回われわれは, 生体肝移植術後に生じた腸閉塞に対して腹腔鏡下癒着剥離術を実施し...

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Published in移植 Vol. 55; no. 2; pp. 97 - 102
Main Authors 八木, 眞太郎, 長井, 和之, 山本, 玄, 上本, 伸二, 内田, 雄一郎, 田浦, 康二朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
日本移植学会
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.2_97

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Summary:「I. はじめに」 生体肝移植術は近年安全性が向上しつつあるものの, 術後には拒絶反応や胆道合併症をはじめとして, さまざまな合併症が起こりうることが知られている. 術後癒着に関連した腸閉塞は, 腹部外科手術後の合併症としてよく知られているものであるが, 生体肝移植術後の腸閉塞についての報告は少なく, 腹腔鏡手術を含めた適切な手術治療方針は明らかでない. 近年, 腹部手術後の腸閉塞に対する手術方法として腹腔鏡下癒着剥離術の有用性が報告されているが, 生体肝移植術後に生じた腸閉塞に対して同術式を実施した報告はない. 今回われわれは, 生体肝移植術後に生じた腸閉塞に対して腹腔鏡下癒着剥離術を実施し, 良好な結果を得た2症例を経験したので, 文献的考察を含めて報告する. 症例1: 70代, 男性 主訴: 発熱,腹痛 既往歴: 7年前, C型肝炎による肝硬変, 肝細胞癌に対して生体肝右葉グラフトによる肝移植術(胆管空腸吻合再建), 脾摘術を受けた.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.2_97