環境因子が唾液分泌量に及ぼす影響—照度、香り、足浴についての検討
「1. 緒言」唾液は, 保湿成分や免疫成分, 消化酵素などを含んでおり粘膜保護作用や抗菌作用, 消化作用などの機能があるため, 咀嚼や摂食嚥下などの口腔機能に不可欠である. しかし, 近年, 日本の超高齢社会の到来による高齢者の増加や, 全身疾患を有する患者の増加に伴う薬剤の副作用の影響, また複雑化する社会生活におけるストレスの増大により, 唾液分泌量の減少に起因する口腔乾燥を訴える患者が増加していくと予測されている. 唾液分泌量の減少は, 口腔内細菌の増加, 齲蝕の増加, 口腔粘膜疾患や嚥下困難, さらには誤嚥性肺炎とも関連すると報告されていることから, 口腔乾燥が人々の生活の質 (QOL...
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Published in | 日本生理人類学会誌 Vol. 26; no. 1; pp. 1 - 7 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生理人類学会
25.02.2021
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Subjects | |
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ISSN | 1342-3215 2432-0986 |
DOI | 10.20718/jjpa.26.1_1 |
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Summary: | 「1. 緒言」唾液は, 保湿成分や免疫成分, 消化酵素などを含んでおり粘膜保護作用や抗菌作用, 消化作用などの機能があるため, 咀嚼や摂食嚥下などの口腔機能に不可欠である. しかし, 近年, 日本の超高齢社会の到来による高齢者の増加や, 全身疾患を有する患者の増加に伴う薬剤の副作用の影響, また複雑化する社会生活におけるストレスの増大により, 唾液分泌量の減少に起因する口腔乾燥を訴える患者が増加していくと予測されている. 唾液分泌量の減少は, 口腔内細菌の増加, 齲蝕の増加, 口腔粘膜疾患や嚥下困難, さらには誤嚥性肺炎とも関連すると報告されていることから, 口腔乾燥が人々の生活の質 (QOL) に及ぼす影響は重大であると考えられる. 唾液は, 唾液腺で生産され, 口腔に排出される. 唾液分泌は自律神経により調節されており, 交感神経と副交感神経が唾液腺を二重に支配している. 両神経は拮抗支配ではなく, いずれも唾液分泌が促進されるが, 交感神経は粘液性で少量の唾液を分泌させるのに対し, 副交感神経は漿液性で多量の唾液を分泌させる. |
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ISSN: | 1342-3215 2432-0986 |
DOI: | 10.20718/jjpa.26.1_1 |