早期胃癌ESD術後狭窄の検討

【はじめに】以前我々は胃の内視鏡的粘膜下層剥離術(以下,ESD)で3/4周(粘膜切除周率75%)以上の粘膜切除となると術後瘢痕狭窄を来す可能性が高いことを報告した1)。【目的】術後狭窄を来し難いと思われる胃角部・体部の粘膜切除周率75%以上におよぶ切除となった症例について術後狭窄を来たす可能性を検討する。また,現在当院で行っている予防的な内視鏡的バルーン拡張術(以下,拡張術)の有用性について検討する。【対象および方法】平成18年4月~平成21年7月に当院で行った胃のESD 536例のうち胃角部・体部の症例で粘膜切除周率75%以上の切除となった8例を対象に術後狭窄の有無,術後経過を検討し,予防的...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 77; no. 2; pp. 35 - 39
Main Authors 柿崎, 暁, 飯塚, 春尚, 蘇原, 直人, 小川, 哲史, 萩原, 聡, 小野里, 康博, 石原, 弘, 富澤, 直樹, 伊藤, 秀明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2010
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.77.2_35

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Summary:【はじめに】以前我々は胃の内視鏡的粘膜下層剥離術(以下,ESD)で3/4周(粘膜切除周率75%)以上の粘膜切除となると術後瘢痕狭窄を来す可能性が高いことを報告した1)。【目的】術後狭窄を来し難いと思われる胃角部・体部の粘膜切除周率75%以上におよぶ切除となった症例について術後狭窄を来たす可能性を検討する。また,現在当院で行っている予防的な内視鏡的バルーン拡張術(以下,拡張術)の有用性について検討する。【対象および方法】平成18年4月~平成21年7月に当院で行った胃のESD 536例のうち胃角部・体部の症例で粘膜切除周率75%以上の切除となった8例を対象に術後狭窄の有無,術後経過を検討し,予防的拡張術の必要性を検討した。平成20年4月~平成21年7月に当院で行った胃のESD 227例中,粘膜切除周率75%以上となった症例において,予防的拡張術の現状を検討した。【結果】胃角部・体部の8例全例において術後狭窄は認めなかった。体部大彎中心の切除となった1例のみに内腔の狭小化を認めたが狭窄症状は認めず,拡張術は不要であった。粘膜切除周率90%以上の噴門部1例,幽門部4例に予防的拡張術を施行した。予防的拡張術により,狭窄症状の出現は回避可能であった。予防的拡張術を行った幽門部の1例に穿孔を認めたが,保存的に改善した。【結論】粘膜切除周率75%以上の症例でも,胃角部・体部では術後狭窄を認めなかった。90%以上の噴門部,幽門部の症例に対して予防的拡張術は術後狭窄の回避に有用と思われた。
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.77.2_35