エンドセリン受容体を介するペインシグナルの治療戦略:新規鎮痛補助薬としてのエンドセリンA受容体拮抗薬

「はじめに」医療技術の向上によりがんは治療可能な疾患となってきている. がんの年齢調整死亡率は1990年代以降低下しており, その結果がんサバイバーが年々増加し, 就労とがん治療の両立が可能となってきた. 厚生労働省がん臨床研究事業において実施された「治療と就労の両立に関するアンケート調査」によると, がん診断後の就労について困ったことの中に『通勤・仕事中の副作用や後遺症の問題』があり, その項目の中に『痛み』が含まれていることから, 多くのがんサバイバーが痛みに悩み苦しんでいる現状が明らかになっている. がん性疼痛の治療には, モルヒネ, フェンタニル, オキシコドンといった医療用麻薬である...

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Published inPAIN RESEARCH Vol. 36; no. 3; pp. 139 - 146
Main Authors 山口, 敬介, 井関, 雅子, 黒田, 唯, 野中, 美希, 上園, 保仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 30.09.2021
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ISSN0915-8588
2187-4697
DOI10.11154/pain.36.139

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Summary:「はじめに」医療技術の向上によりがんは治療可能な疾患となってきている. がんの年齢調整死亡率は1990年代以降低下しており, その結果がんサバイバーが年々増加し, 就労とがん治療の両立が可能となってきた. 厚生労働省がん臨床研究事業において実施された「治療と就労の両立に関するアンケート調査」によると, がん診断後の就労について困ったことの中に『通勤・仕事中の副作用や後遺症の問題』があり, その項目の中に『痛み』が含まれていることから, 多くのがんサバイバーが痛みに悩み苦しんでいる現状が明らかになっている. がん性疼痛の治療には, モルヒネ, フェンタニル, オキシコドンといった医療用麻薬であるオピオイド製剤が使用されており, がん患者の苦痛を和らげる治療が行われている. オピオイド製剤は近年, 非がん性慢性疼痛にも適応が広まっている. オピオイド受容体はμ(MOR), δ(DOR), κ(KOR)の3種類が存在し, オピオイドを介する鎮痛作用はMORによるものである.
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.36.139