さまざまな慢性痛患者の安静時fMRI研究

「はじめに」fMRIは核磁気共鳴現象を利用して脳活動を画像化する非侵襲脳活動計測法の一つで, 痛みの研究に応用され, さまざまな痛みに関連する脳内機構を明らかにしてきた. 初期の研究は主に, 健常人を対象とした痛覚認知に関連したもので, 生理的な痛覚の脳内機構の解明に寄与した. その後, 慢性痛の病態解明への応用が期待され, 現在では慢性痛を有する被験者を対象として多くの研究がおこなわれている. 慢性痛には, 変形性膝関節症などを代表とする侵害受容性の慢性痛の他, 種々の神経障害性疼痛や医学的な所見では説明の困難な非特異的腰痛や線維筋痛症(以下FM)などの一次性慢性痛や片頭痛などがある. これ...

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Published inPAIN RESEARCH Vol. 31; no. 4; pp. 189 - 196
Main Authors 寒, 重之, 大迫, 正一, 溝渕, 知司, 柴田, 政彦, 上嶋, 江利, 恒遠, 剛示, 新田, 一仁, 岩下, 成人, 若泉, 謙太, 高雄, 由美子, 栁澤, 琢史, 福井, 聖, 中野, 直樹, 三木, 健司, 黒崎, 弘倫, 助永, 憲比古, 本山, 泰士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 26.12.2016
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ISSN0915-8588
2187-4697
DOI10.11154/pain.31.189

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Summary:「はじめに」fMRIは核磁気共鳴現象を利用して脳活動を画像化する非侵襲脳活動計測法の一つで, 痛みの研究に応用され, さまざまな痛みに関連する脳内機構を明らかにしてきた. 初期の研究は主に, 健常人を対象とした痛覚認知に関連したもので, 生理的な痛覚の脳内機構の解明に寄与した. その後, 慢性痛の病態解明への応用が期待され, 現在では慢性痛を有する被験者を対象として多くの研究がおこなわれている. 慢性痛には, 変形性膝関節症などを代表とする侵害受容性の慢性痛の他, 種々の神経障害性疼痛や医学的な所見では説明の困難な非特異的腰痛や線維筋痛症(以下FM)などの一次性慢性痛や片頭痛などがある. これらの疾患や病態に伴う脳活動を健常人と比較することによってその脳内機序を探る方法として, 近年安静時fMRIが注目されている. 安静時fMRIとは, タスクを必要とした従来のfMRIとは異なり, 覚醒安静時におけるヒトの自発性脳活動を対象とする研究パラダイムである.
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.31.189