リンパ管侵襲を認めたA型胃炎合併多発性胃カルチノイド腫瘍の1例

「はじめに」A型胃炎合併多発性胃カルチノイド腫瘍に対する治療として, 従来は胃全摘術が一般的に施行されていたが, 比較的予後が良好であることから, 最近では縮小手術の報告が散見されている1~5). 今回, 筆者らは同腫瘍に対する治療方針を決定する上で示唆に富む症例を経験したので報告する. 「症例」患者:53歳, 男性. 主訴:特になし. 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成5年, 検診における上部消化管内視鏡検査にて胃ポリープを指摘され, 以後経過観察されていた. 平成14年10月の内視鏡検査にて多発胃隆起性病変を指摘され, 生検病理組織検査でカルチノイド腫瘍と診断されたため,...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 64; no. 2; pp. 74 - 75
Main Authors 今枝, 博之, 岩男, 泰, 北島, 政樹, 日比, 紀文, 永田, 博司, 加藤, 眞三, 木村, 裕之, 村井, 綾乃, 石井, 裕正, 白石, 淳一, 緒方, 晴彦, 梶原, 幹生, 熊井, 浩一郎, 向井, 万起男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2004
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.64.2_74

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Summary:「はじめに」A型胃炎合併多発性胃カルチノイド腫瘍に対する治療として, 従来は胃全摘術が一般的に施行されていたが, 比較的予後が良好であることから, 最近では縮小手術の報告が散見されている1~5). 今回, 筆者らは同腫瘍に対する治療方針を決定する上で示唆に富む症例を経験したので報告する. 「症例」患者:53歳, 男性. 主訴:特になし. 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成5年, 検診における上部消化管内視鏡検査にて胃ポリープを指摘され, 以後経過観察されていた. 平成14年10月の内視鏡検査にて多発胃隆起性病変を指摘され, 生検病理組織検査でカルチノイド腫瘍と診断されたため, 同年12月に当院内科を紹介受診し, 平成15年1月に入院となった. 入院時現症:貧血, 黄疸なく, 表在リンパ節触知せず, 腹部に異常所見を認めなかった. 入院時検査所見:血液検査では, ガストリン値5,800pg/ml, 抗壁細胞抗体160倍と高値を認めた. 腫瘍マーカはCEA, CA19-9とも正常範囲内であり, 抗ヘリコバクター・ピロリIgG抗体は陰性であった.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.64.2_74