炎症性疼痛モデルにおけるマクロファージ/ミクログリアの可視化

「はじめに」痛み研究における重要なトピックとして, 神経細胞と免疫細胞の相互作用が挙げられる. 神経損傷後や炎症後では, 末梢におけるマクロファージなどの浸潤・集積に加えて, 中枢におけるミクログリアの活性化が生じ, これらの免疫細胞は種々の炎症性メディエーターの産生を介して, 末梢神経と中枢神経を感作する. 特に, 脊髄後角ミクログリアの活性化は, 難治性の慢性疼痛である神経障害性疼痛などに関与することが明らかになっており, 重要な治療標的として注目されている. 近年, これらの細胞の可視化および人為的機能操作を可能にする技術開発が飛躍的に進み, その生理学的・病態学的役割がより明確になりつ...

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Published inPAIN RESEARCH Vol. 34; no. 1; pp. 31 - 38
Main Authors 崎村, 建司, 田井中, 一貴, 内田, 仁司, 阿部, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 30.03.2019
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ISSN0915-8588
2187-4697
DOI10.11154/pain.34.31

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Summary:「はじめに」痛み研究における重要なトピックとして, 神経細胞と免疫細胞の相互作用が挙げられる. 神経損傷後や炎症後では, 末梢におけるマクロファージなどの浸潤・集積に加えて, 中枢におけるミクログリアの活性化が生じ, これらの免疫細胞は種々の炎症性メディエーターの産生を介して, 末梢神経と中枢神経を感作する. 特に, 脊髄後角ミクログリアの活性化は, 難治性の慢性疼痛である神経障害性疼痛などに関与することが明らかになっており, 重要な治療標的として注目されている. 近年, これらの細胞の可視化および人為的機能操作を可能にする技術開発が飛躍的に進み, その生理学的・病態学的役割がより明確になりつつある. これらの点について, 本稿では, Iba-1 (iCre/+); CAG-floxed STOP tdTomatoレポーターマウスを組織透明化/三次元イメージング解析して得られた, 炎症性疼痛モデルの脊髄および脳におけるミクログリア活性化に関する著者らの知見を交えて概説したい.
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.34.31