器質的心疾患を有する持続性心室頻拍に対するカテーテルアブレーション:Rotational activation pattern

器質的心疾患を背景に有する持続性心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)のアブレーション治療において,洞調律/心室ペーシング中の興奮伝導特性を評価するfunctional substrate mappingの有用性が複数報告されている.伝導速度の低下した部位は,3次元マッピングシステムにおいてisochronal colorの密集する部位(isochronal crowding:IC)として反映され,同部位が至適通電部位とされる.しかし,臨床上はICが複数の部位に認められ,また距離の長い帯状の病変として記録されることがある.我々はこのIC直上またはその断端で,90°以上...

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Published in心電図 Vol. 44; no. 2; pp. 75 - 83
Main Authors 野上, 昭彦, 小松, 雄樹, 服部, 正幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 31.07.2024
日本不整脈心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.44.75

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Summary:器質的心疾患を背景に有する持続性心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)のアブレーション治療において,洞調律/心室ペーシング中の興奮伝導特性を評価するfunctional substrate mappingの有用性が複数報告されている.伝導速度の低下した部位は,3次元マッピングシステムにおいてisochronal colorの密集する部位(isochronal crowding:IC)として反映され,同部位が至適通電部位とされる.しかし,臨床上はICが複数の部位に認められ,また距離の長い帯状の病変として記録されることがある.我々はこのIC直上またはその断端で,90°以上の内向きの湾曲をする興奮伝播様式を認める部位があることに注目し,これをrotational activation pattern(RAP)と定義した.カテーテルアブレーションの行われた37名45個のVTに対して後方視的に解析を行ったところ,通電による直接停止ないしペースマッピングにより回路が特定された計33個のVTのうち,70%でRAPを認めた.ベースラインリズム中はRAPを認めなかったが,異なる部位からの心室ペーシング中に作成したmapでRAPを認めた症例(n=4)や,心筋中層ないし心外膜にVT回路が存在し,RAPを伴わない心内膜側表面への通電によってVTの誘発性が消失した症例(n=6)が存在した.器質的心疾患を有するVTのカテーテルアブレーション治療において,functional substrate mappingはVT回路を推定する上で重要な手法であり,なかでもRAPを呈する領域が至適治療部位となる可能性がある.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.44.75