胃セロトニン産生腫瘍の1例

「和文要旨」胃の内分泌細胞癌は稀な癌であるが, 早期より高率に脈管侵襲や遠隔転移をきたし予後不良とされている. また外科手術後の病理検索で腺癌の深部に内分泌細胞癌が確認される症例も多く, 術前の内視鏡直視下生検では内分泌細胞癌が採取されず確定診断に至らないこともある. 我々は, 肝臓に転移し, カルチノイド症候群類似の症状を呈した胃内分泌細胞癌を経験した. 生検組織の免疫組織化学染色によりセロトニン産生腫瘍と診断された. 「症例」患者:84歳, 男性. 主訴:下痢, 全身倦怠感. 既往歴:30歳, 肺結核. 現病歴:2004年7月より下痢症状が出現したが, 血液検査上異常を認めず内服薬で経過観...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 70; no. 2; pp. 80 - 81
Main Authors 大坂, 嘉奈子, 久保木, 友子, 竹内, 英津子, 今村, 哲夫, 横山, 奈穂子, 前田, 淳, 高橋, 蘭子, 古市, 有子, 石川, 尚之, 志村, 和政, 新見, 晶子, 三坂, 亮一, 堀田, 順子, 重本, 六男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2007
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.70.2_80

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Summary:「和文要旨」胃の内分泌細胞癌は稀な癌であるが, 早期より高率に脈管侵襲や遠隔転移をきたし予後不良とされている. また外科手術後の病理検索で腺癌の深部に内分泌細胞癌が確認される症例も多く, 術前の内視鏡直視下生検では内分泌細胞癌が採取されず確定診断に至らないこともある. 我々は, 肝臓に転移し, カルチノイド症候群類似の症状を呈した胃内分泌細胞癌を経験した. 生検組織の免疫組織化学染色によりセロトニン産生腫瘍と診断された. 「症例」患者:84歳, 男性. 主訴:下痢, 全身倦怠感. 既往歴:30歳, 肺結核. 現病歴:2004年7月より下痢症状が出現したが, 血液検査上異常を認めず内服薬で経過観察をしていた. 2005年11月より食欲不振, 腹痛が出現し, 血清CA19-9が131U/mlと高値を認めたため, 腹部MRIを施行. 肝内に多発する腫瘤を認めた為, 精査目的にて入院となった. 腹部MRI:肝内にT2で高信号を示す多発腫瘤を認めた(Fig. 1).
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.70.2_80