切開・剥離法にて一括切除した同時性多発早期胃癌の1例

「はじめに」今回我々は, 切開・剥離法にて, 合併症なく一括切除した同時性多発早期胃癌の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:78歳, 女性. 主訴:胃病変の精査加療. 現病歴:検診で上部消化管造影検査を行い, 胃角部に変形を認めたため, 近医で上部消化管内視鏡検査を施行. 同部位に0IIa病変を認め, 生検結果がGroup Vであったため当院消化器科を紹介受診となった. 既往歴:57歳 右乳癌手術, 71歳 大腸癌手術, 75歳 胆石症手術. 入院時検査所見:血算, 生化学的検査に異常値を認めなかった. 腫瘍マーカー(CEA, CA19-9)も正常範囲内であり, 腹部CT検査・超音波検...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 82 - 83
Main Authors 新井, 弘隆, 石原, 弘, 豊田, 満夫, 小川, 哲史, 富沢, 直樹, 小野里, 康博, 長島, 真美子, 饗場, 正明, 阿部, 毅彦, 岡村, 信一, 長沼, 篤, 伊藤, 秀明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.62.2_82

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Summary:「はじめに」今回我々は, 切開・剥離法にて, 合併症なく一括切除した同時性多発早期胃癌の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:78歳, 女性. 主訴:胃病変の精査加療. 現病歴:検診で上部消化管造影検査を行い, 胃角部に変形を認めたため, 近医で上部消化管内視鏡検査を施行. 同部位に0IIa病変を認め, 生検結果がGroup Vであったため当院消化器科を紹介受診となった. 既往歴:57歳 右乳癌手術, 71歳 大腸癌手術, 75歳 胆石症手術. 入院時検査所見:血算, 生化学的検査に異常値を認めなかった. 腫瘍マーカー(CEA, CA19-9)も正常範囲内であり, 腹部CT検査・超音波検査でも転移は認めなかった. 経過:上部消化管内視鏡(Color 1-a, b)では, 胃角部小彎から後壁にかけて, IIa様病変を3ヵ所に認め, それぞれの病変間には正常粘膜が介在していたため, 独立した3病変と診断した. 生検病理組織診断は, 3病変とも高分化型腺癌であった. 超音波内視鏡検査では, 3病変とも粘膜層に限局し, 粘膜下層は保たれていたため, 粘膜内癌と診断した. 3病変はそれぞれ, 大きさ2cm以下の潰瘍形成のない隆起性病変であり, また分化型の粘膜内癌であることから, 内視鏡的粘膜切除術Endoscopic Mucosal Resection(EMR)の適応と考えられた. しかし, 病変の存在範囲を考えると, 通常の2チャンネルスコープを用いたEMR手技では3病変を一括切除するには困難と判断したため, 切開・剥離法を選択した.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.62.2_82