破裂小児脳動静脈奇形の治療と臨床的特徴

小児脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)は,小型でdiffuse nidusをもつことが比較的多い.破裂例では急性期に出血源の同定が困難な場合があり,また境界が不明瞭なため摘出時に残存が生じやすい.さらに成人例に比し再発が多いことも指摘されており,最適な治療方針はいまだ確立されていない.2012-2024年に当施設で治療した16歳以下の破裂小児AVM7例をもとに,臨床上の問題点を検討した.7例の内訳はSpetzler-Martin分類のGrade 2が6例,Grade 3が1例 で,compact nidusは4例,diffuse nidusは3例であっ...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 53; no. 1; pp. 40 - 47
Main Authors 斉藤, 明彦, 中村, 公彦, 中山, 遥子, 志田, 和樹, 村井, 志乃, 澁谷, 航平, 森田, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2025
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.53.40

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Summary:小児脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)は,小型でdiffuse nidusをもつことが比較的多い.破裂例では急性期に出血源の同定が困難な場合があり,また境界が不明瞭なため摘出時に残存が生じやすい.さらに成人例に比し再発が多いことも指摘されており,最適な治療方針はいまだ確立されていない.2012-2024年に当施設で治療した16歳以下の破裂小児AVM7例をもとに,臨床上の問題点を検討した.7例の内訳はSpetzler-Martin分類のGrade 2が6例,Grade 3が1例 で,compact nidusは4例,diffuse nidusは3例であった.摘出術は待機的手術を原則とし,術前塞栓術+摘出術が4例,急性期血腫除去/外減圧術+摘出術が2例,ガンマナイフ治療が1例であった.摘出術は発症後平均29.8日で施行された.発症90日後modified Rankin Scale 0が2例,2が5例と予後良好であった.摘出術を行った6例中,diffuse nidusの2例でガンマナイフによる追加治療を要した.1例は術後早期の脳血管造影で別部位に新たなdiffuse nidusが描出され,他の1例は,脳血管造影上AVMの消失が確認されていたものの,術後2年で異常血管網が出現し,術後3年でAVMの再発を認めた.平均5.5年の追跡期間において全7例で脳血管造影によりAVMの消失を確認した.小児AVMにおいては,根治術後も長期にわたる注意深い経過観察を要し,時期を選び脳血管造影による精査が重要である.すなわち,術後早期には残存nidusやhidden compartmentの有無を,術後1-2年には再発の有無を評価する.さらに,動的病態と考えるべき小児期を過ぎ成人期に入る時点で,再発やde novo AVMの評価を行うことが望ましいと考える.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.53.40