先天聾人工内耳装用児の聴覚・言語発達の個人差

今回, われわれは2歳台と3歳台に Nucleus24 の装用を開始し, 2年から4年経過した先天聾人工内耳装用児7名を対象に, 語音聴取能と言語能力の発達の個人差およびそれに関与する要因を検討した. 当センター作成の語音聴取検査と, 新版K式発達検査およびWISC-III知能検査を経時的に実施した。その結果, 語音聴取能と言語能力の発達には大きな個人差が認められた。語音聴取能と言語能力は相互関連的に伸び, 両方とも急速に発達するものと, 緩慢だが確実に発達するものと, 非常に発達が不良なものに大別された。経過が良好な症例には, 装用前に発語があり, CI装用後のコミュニケーション方法は音声言...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 48; no. 4; pp. 252 - 259
Main Authors 加藤, 敏江, 浅見, 勝巳, 別府, 玲子, 森河, 孝夫, 中山, 博之, 服部, 琢, 荒尾, はるみ, 柴田, 康子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 2005
日本聴覚医学会
Subjects
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.48.252

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Summary:今回, われわれは2歳台と3歳台に Nucleus24 の装用を開始し, 2年から4年経過した先天聾人工内耳装用児7名を対象に, 語音聴取能と言語能力の発達の個人差およびそれに関与する要因を検討した. 当センター作成の語音聴取検査と, 新版K式発達検査およびWISC-III知能検査を経時的に実施した。その結果, 語音聴取能と言語能力の発達には大きな個人差が認められた。語音聴取能と言語能力は相互関連的に伸び, 両方とも急速に発達するものと, 緩慢だが確実に発達するものと, 非常に発達が不良なものに大別された。経過が良好な症例には, 装用前に発語があり, CI装用後のコミュニケーション方法は音声言語が有効だった。しかし, 経過が思わしくない症例は, 発達障害など言語獲得の阻害要因を併せ持っていた。これらの症例では, CI装用後の日常生活のコミュニケーションや言語能力の発達に, 音声言語に加え視覚モードの補助的使用が必要だった。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.48.252