食道気管支瘻に対し食道ステントを留置した進行食道癌の1例

• Published in: Progress of Digestive Endoscopy Vol. 83; no. 1; pp. 84 - 85
• Main Authors: 吉田, 有輝, 加藤, 充, 北川, 智之, 平山, 圭穂, 鈴木, 武志, 竹中, 由希夫, 前谷, 容, 富永, 健司, 佐藤, 浩一郎, 横内, 幸, 高橋, 啓, 森, 麻紀子, 伊藤, 紗代
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 14.12.2013; 日本消化器内視鏡学会関東支部会
• Subjects: ステント; 食道気管支瘻
• ISSN: 1348-9844; 2187-4999
• DOI: 10.11641/pde.83.1_84

「はじめに」 食道気管支瘻は食道癌の約5～15%に合併するとの報告があるが, 食道癌に併発した食道気管支瘻には手術適応がないことがほとんどであり, 根本的な治療は難しい. 栄養障害からくるQOLの低下や, 経瘻孔的な感染によって死に至ることも多い1,2). 今回我々は, 食道気管支瘻に対し食道ステント留置を行って瘻孔閉鎖し, QOLを改善し得た症例を経験したので剖検結果, 文献的考察を含め報告する. 「症例」 患者:64歳, 男性. 主訴:タール便, ふらつき. 既往歴:高血圧, 脂質代謝異常, 脳梗塞. 嗜好品:煙草60本×40年, 日本酒2合×毎日. 現病歴:2011年7月から背部痛が出現し, 8月から固形物の摂取が困難になった. 9月中旬に黒色便, ふらつきを認め, 当院外来受診. 精査加療目的に入院となった. 入院時現症:身長163.5cm, 体重42.6kg, 体温36.8℃, 血圧94/54mmHg, 心拍数76回/分, 眼瞼結膜貧血あり, 眼球結膜黄染なし, 呼吸音清, 心音純, 腹部圧痛なし, グル音低下, 下肢浮腫なし, 直腸診黒色便少量付着.