僻地医療における視能訓練士の果たすべき役割~三歳児健診および学校健診の観点から

目的:眼科医および眼科医療機関の少ない僻地において、三歳児健康診査(以下三歳児健診)および小中学校健診における眼科健診に、視能訓練士の果たすべき役割について検討した。 対象と方法:2005年度に三歳児健康診査における視覚検査(以下三歳児眼科検診)を受けた上天草市の265名。同じく2005年度に学校健診を行った小・中学校のうち、アンケート調査に回答のあった小学校2校、中学校1校の児童・生徒210名。三歳児眼科検診では視能訓練士が視力検査、眼位検査、立体視検査を行った。小・中学校健診は視力を養護教員が測定し、医師が外眼部および眼位を診察、眼位異常のある児童・生徒については視能訓練士が近見眼位を定量...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 36; pp. 119 - 123
Main Authors 吉岡, 久史, 竹下, 哲二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2007
日本視能訓練士協会
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.36.119

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Summary:目的:眼科医および眼科医療機関の少ない僻地において、三歳児健康診査(以下三歳児健診)および小中学校健診における眼科健診に、視能訓練士の果たすべき役割について検討した。 対象と方法:2005年度に三歳児健康診査における視覚検査(以下三歳児眼科検診)を受けた上天草市の265名。同じく2005年度に学校健診を行った小・中学校のうち、アンケート調査に回答のあった小学校2校、中学校1校の児童・生徒210名。三歳児眼科検診では視能訓練士が視力検査、眼位検査、立体視検査を行った。小・中学校健診は視力を養護教員が測定し、医師が外眼部および眼位を診察、眼位異常のある児童・生徒については視能訓練士が近見眼位を定量した。 結果:三歳児眼科検診は受診者数251名(94.7%)のうち精密健診受託医療機関における健診が必要と判断された児は2名(0.7%)だった。この2児が眼科医療機関を受診したかどうかは不明だった。小・中学校健診では受診者のうち、要精密健診とされた児童・生徒は84名(40.0%)だった。このうち眼科医療機関を受診した者の割合は学校間に大きな差がみられた。 結論:三歳児眼科検診に視能訓練士が従事することは有意義と思われるが、異常を指摘された児の精密検査の結果について把握するシステムが必要である。眼科医が健診できない小・中学校については可能であれば視能訓練士だけでも眼科的健診を行ったほうが良いと思われる。学校により精密健診の受診率に差が見られ、養護教員、保護者へ眼科的疾患に対する認識を促す必要がある。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.36.119