原発性腸リンパ管拡張症の1例

「はじめに」蛋白漏出性胃腸症には, これを来す多数の原因疾患が知られている1)が, 一次性に分類される原発性腸リンパ管拡張症は比較的稀である. 今回われわれは, 原発性腸リンパ管拡張症の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:20歳, 女性. 主訴:下腿浮腫. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:生来健康で, 2000年5月第1子を出産(正常分娩). 6月下旬より下腿浮腫が出現した. 近医で利尿剤を投与され一時軽快したが, 再び増強した. 8月他病院に入院し, 低蛋白血症(TP 4.0g/dl, Alb 1.9g/dl)と腹水を診断された. アルブミン製剤と利尿剤投与にて浮腫・腹水は軽減...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 59; no. 2; pp. 92 - 93
Main Authors 田原, 利行, 塩崎, 裕士, 中田, 功, 山岸, 由幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.59.2_92

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Summary:「はじめに」蛋白漏出性胃腸症には, これを来す多数の原因疾患が知られている1)が, 一次性に分類される原発性腸リンパ管拡張症は比較的稀である. 今回われわれは, 原発性腸リンパ管拡張症の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:20歳, 女性. 主訴:下腿浮腫. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:生来健康で, 2000年5月第1子を出産(正常分娩). 6月下旬より下腿浮腫が出現した. 近医で利尿剤を投与され一時軽快したが, 再び増強した. 8月他病院に入院し, 低蛋白血症(TP 4.0g/dl, Alb 1.9g/dl)と腹水を診断された. アルブミン製剤と利尿剤投与にて浮腫・腹水は軽減したが低蛋白血症の原因が判明せず, 当院に紹介入院となった. 身体所見:身長159cm, 体重54kg, 体温36.6℃, 血圧114/70mmHg, 脈拍72/分整, 両側下腿に浮腫を軽度認めた. 検査成績(Table 1):低蛋白血症を認めた. 諸検査結果より, 肝・腎・心・甲状腺疾患の存在は否定的で, 自己抗体は陰性であった. 経過(Fig.1):入院後嘔気を訴えたため, 上部消化管内視鏡を施行した. 胃十二指腸壁は浮腫状で, 十二指腸下行脚に散布性白点を認めた(Color 1). 同部の生検組織(Color 2)では, 粘膜固有層にリンパ管の拡張がみられた. 小腸造影および腹部CTでは, 十二指腸壁に浮腫を示唆する所見を認めたのみで, 他に腫瘍または炎症性病変はみられなかった.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.59.2_92