筋萎縮症に対するホルモン療法

進行性筋ジストロフイー症なる疾患が1884年Erbにより遺伝的に規定された横紋筋の疾患として概念付けられて以来, 本症の病因本体の解明への努力が払われ, 呉, 沖中らによる自律神経説, あるいは内分泌説, 1)蛋白代謝異常説, 2)さらには最近細胞膜透過性に注目したMembrane leak theory3)などが提唱されている. われわれは最近内分泌学的観点より進行性筋ジストロフイー症(以下「PMD」と略す)の筋組織内蛋白代謝の亢進2)に対し, Dowbenら5)の報告した蛋白同化ホルモン投与を行なうとともに, 女性のジストロフイーの進行が一般に遅いこと, 思春期にて急速に進行する症例が存在...

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Published in医療 Vol. 23; no. 10; pp. 1312 - 1318
Main Authors 高橋, 佳一, 森, 頴太郎, 新光, 毅, 大倉, 久直, 高見, 好信, 老籾, 宗忠, 後藤, 忠生, 立岩, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1969
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.23.1312

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Summary:進行性筋ジストロフイー症なる疾患が1884年Erbにより遺伝的に規定された横紋筋の疾患として概念付けられて以来, 本症の病因本体の解明への努力が払われ, 呉, 沖中らによる自律神経説, あるいは内分泌説, 1)蛋白代謝異常説, 2)さらには最近細胞膜透過性に注目したMembrane leak theory3)などが提唱されている. われわれは最近内分泌学的観点より進行性筋ジストロフイー症(以下「PMD」と略す)の筋組織内蛋白代謝の亢進2)に対し, Dowbenら5)の報告した蛋白同化ホルモン投与を行なうとともに, 女性のジストロフイーの進行が一般に遅いこと, 思春期にて急速に進行する症例が存在する事実より, 女性ホルモン投与を行なつた. さらには上記の細胞膜透過性の異常に注目し, 本疾患に特異性の高い血清Creatine phosphokinase(以下(CPK」と略す)の変動を中心として副腎皮質ホルモン投与の影響を観察することにより, PMDの本体およびその治療への内分泌学的アプローチを試みた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.23.1312