硬膜動静脈瘻に対する定位放射線手術の最前線 ─有効性・安全性の最新レビューと難治例への挑戦

頭蓋内硬膜動静脈瘻(intracranial dural arteriovenous fistulas:DAVF)は,硬膜動脈と静脈洞/脳静脈との異常なシャントを特徴とする疾患で,脳出血や非出血性神経障害を引き起こす可能性がある.主たる治療法には血管内治療や直達術があり,近年は定位放射線手術(stereotactic radiosurgery:SRS)の有効性が報告されている.本総説はDAVFに対するSRSの最新のエビデンスをレビューし,その有効性と安全性を検証することを目的とした.SRSは高精度の局所放射線治療法である.SRSによるDAVFの5年累積完全閉塞率は67-89%と報告され,合併症...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 53; no. 1; pp. 1 - 5
Main Authors 梅川, 元之, 小泉, 聡, 長谷川, 洋敬, 新谷, 祐貴, 片野, 厚人, 齊藤, 延人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2025
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.53.1

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Summary:頭蓋内硬膜動静脈瘻(intracranial dural arteriovenous fistulas:DAVF)は,硬膜動脈と静脈洞/脳静脈との異常なシャントを特徴とする疾患で,脳出血や非出血性神経障害を引き起こす可能性がある.主たる治療法には血管内治療や直達術があり,近年は定位放射線手術(stereotactic radiosurgery:SRS)の有効性が報告されている.本総説はDAVFに対するSRSの最新のエビデンスをレビューし,その有効性と安全性を検証することを目的とした.SRSは高精度の局所放射線治療法である.SRSによるDAVFの5年累積完全閉塞率は67-89%と報告され,合併症はまれ(0-3%)であった.治療効果の予測因子としては,皮質静脈逆流の有無や病変局在が関連しており,多施設後方視的研究においても同様に良好な結果が確認された.特に,横-S状静脈洞部DAVFに対しては,正常静脈還流に寄与する罹患静脈洞温存が担保され,Borden type Iの病変に対してはとりわけ有効な治療法とする報告もある.出血性高流量シャント例や多発病変・再発症例といった“難治性”DAVFに対しては,血管内治療や直達術との補完的組み合わせで SRS は有効な治療選択肢となり得るであろう.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.53.1