肺結核症におけるアルブミン代謝, 特に蛋白同化ステロイドの影響について

近年, 肺結核症は化学療法剤の進歩と, 診断法の発達による早期発見などによりその数は次第に減じつつあるが, 一方充分なる化学療法が計画的に行なわれているにもかかわらず, 治療効果の認められないものや, まれには病状の増悪する症例に遭遇することがある. これらの症例のなかには感染というStressの持続や, 蛋白代謝などの障害により栄養状態が悪くなり, そのために病巣の治癒を遅らせるというように, これらが互に悪循環をきたすもののあることが考えられている1). したがつてこのような症例では, 肺結核症の予後に関して, 蛋白代講の状態がかなり重要なものになつてくると思われる. このような意味から,...

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Published in医療 Vol. 21; no. 12; pp. 1439 - 1450
Main Authors 人見, 滋樹, 山本, 博昭, 小林, 君美, 時光, 直樹, 加藤, 康夫, 野手, 信哉, 黒田, 良三, 井上, 律子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1967
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.21.1439

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Summary:近年, 肺結核症は化学療法剤の進歩と, 診断法の発達による早期発見などによりその数は次第に減じつつあるが, 一方充分なる化学療法が計画的に行なわれているにもかかわらず, 治療効果の認められないものや, まれには病状の増悪する症例に遭遇することがある. これらの症例のなかには感染というStressの持続や, 蛋白代謝などの障害により栄養状態が悪くなり, そのために病巣の治癒を遅らせるというように, これらが互に悪循環をきたすもののあることが考えられている1). したがつてこのような症例では, 肺結核症の予後に関して, 蛋白代講の状態がかなり重要なものになつてくると思われる. このような意味から, 肺結核症における蛋白代謝と, 蛋白同化ステロイドの影響についての研究2)3)が行なわれているが, 著者らは肺結核症の経過と蛋白代謝との関連を究明するために, 131I標識人血清アルブミン(RISA)を用いてアルブミン代謝を動的に解析するとともに, これに合成蛋白同化Steroidsを投与することにより生じる変化を検討し, さらにそれらの成績と病状の治療効果との関係を考案したので報告する.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.21.1439