小郡第一総合病院における乳癌検診の現状と課題

当院で施行している乳癌検診の現状を調査・評価することにより,その問題点を検討した.調査の対象は当院の乳癌住民検診を受診した2010年度360人.当院の乳癌発見率,要精検率,陽性反応的中度,精密検査受診率をまとめた.2007年度の全国平均および山口県のデータを参考に検討した.平均年齢は57.4歳,乳癌検診初回受診者は120名で,全体の33.3%であった.当院の乳癌発見率,要精検率,陽性反応的中度,精密検査受診率はそれぞれ0.83%,15.3%,5.5%,98.2%であった.2007年度地域保健・老人保健事業報告書による全国平均はそれぞれ0.27%,8.6%,3.2%,79.6%で,山口県は0.5...

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Published in山口医学 Vol. 61; no. 3; pp. 83 - 88
Main Authors 成松, 昭夫, 衛藤, 隆一, 清水, 良一, 前田, 和成, 小佐々, 博明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 01.08.2012
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.61.83

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Summary:当院で施行している乳癌検診の現状を調査・評価することにより,その問題点を検討した.調査の対象は当院の乳癌住民検診を受診した2010年度360人.当院の乳癌発見率,要精検率,陽性反応的中度,精密検査受診率をまとめた.2007年度の全国平均および山口県のデータを参考に検討した.平均年齢は57.4歳,乳癌検診初回受診者は120名で,全体の33.3%であった.当院の乳癌発見率,要精検率,陽性反応的中度,精密検査受診率はそれぞれ0.83%,15.3%,5.5%,98.2%であった.2007年度地域保健・老人保健事業報告書による全国平均はそれぞれ0.27%,8.6%,3.2%,79.6%で,山口県は0.52%,11.9%,4.4%,91.3%であった.当院での乳癌検診では,癌発見率が高かった.山口市ではマンモグラフィ二方向撮影で検診を行っており,5名ものマンモグラフィ読影認定医による判定によるものと考えられる.さらに精密検査受診率が高く,一次検診から二次検診への誘導が円滑に行われていることも要因の一つである.一方,要精検率が高くなっており,医療経済の面からは特異度向上が課題と考える.乳癌検診の成果を上げるためには受診率の向上が必要であり,当院では検診受診者へ啓蒙活動を積極的に行い,さらに産婦人科と連携したレディース検診の推奨や,新病棟建設に際し,検診の導線を男女別にして設計することで女性の検診受診を促し,総じて乳癌検診の受診率を向上させるよう努力している.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.61.83