大腸内視鏡と私のかかわり
第61回日本大腸肛門病学会総会を弘前市で開催できますことは評議員,会員をはじめご支援いただきました多数の関係者皆様のお蔭であり,心より厚く御礼申し上げます. 総会を青森県で開催できますのは第46回の吉田豊教授(現弘前大学名誉教授),第51回の今充教授(同名誉教授)以来,実に10年ぶりでございます. 私は昭和43年に弘前大学第一内科に入局以来,主に大腸疾患の臨床に携わって参りました.そこで,大腸内視鏡の開発から現在に至るまでに私がかかわった大腸内視鏡学における歴史と研究内容についてまとめてみました. 最初は故松永教授の発案で大腸の内視鏡の開発が教室の先人により試みられました.昭和32年ごろに大腸...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 59; no. 9; p. 473 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2006
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.59.473 |
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Summary: | 第61回日本大腸肛門病学会総会を弘前市で開催できますことは評議員,会員をはじめご支援いただきました多数の関係者皆様のお蔭であり,心より厚く御礼申し上げます. 総会を青森県で開催できますのは第46回の吉田豊教授(現弘前大学名誉教授),第51回の今充教授(同名誉教授)以来,実に10年ぶりでございます. 私は昭和43年に弘前大学第一内科に入局以来,主に大腸疾患の臨床に携わって参りました.そこで,大腸内視鏡の開発から現在に至るまでに私がかかわった大腸内視鏡学における歴史と研究内容についてまとめてみました. 最初は故松永教授の発案で大腸の内視鏡の開発が教室の先人により試みられました.昭和32年ごろに大腸の観察を目的としたSigmoidocameraが開発され,昭和40年代よりglass fiberの内視鏡への応用が始まりColonofiberscopeが開発されました.S状結腸まで観察できるようになりますと,盲腸までの挿入が目標となり,その後機器の改良とともに田島の「逆の字法」による挿入法が確立され盲腸まで挿入することが可能となりました.これが後にαループと呼ばれるようになり大腸内視鏡の挿入法の原点となったものです. その後,回腸末端まで内視鏡を挿入後にチューブを留置する方法を発案しました.この方法を用いて,大腸の内圧を測定したり,また消化管の吸収能を調べたりすることも可能となりました. 内視鏡治療の面では,当時はワイヤーによる機械的なポリープ切除術が報告されておりましたが出血の合併症が多いのが問題でした.そこで我々は高周波装置を用いることにより出血なく大腸ポリープを切除することに成功しました.早期大腸癌の内視鏡治療においては癌の深達度診断が重要ですが,多数例の検討からSMmassiveの病変では生理食塩水を局注した場合,病変の挙上が不良であるというnon-lifting signが生まれました.これは拡大内視鏡EUSなどの特別な機器も高度な診断能力も不要のものであり実際の臨床面では非常にpracticalな所見でアメリカの内視鏡学会賞もいただきました. 以上のような内容で当日は講演する予定です. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.59.473 |