振戦と運動失調を伴い抗neurofascin-155抗体陽性であった慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーの17歳男性例

症例は17歳の男性である.徐々に上下肢の筋力低下を自覚し,走った際にバランスを崩すようになった.加えて姿勢時に手指の振戦が出現した.典型的慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーの病型に加えて,上肢の振戦と下肢の運動失調を認めたことから抗neurofascin-155抗体の関与を疑い,陽性であった.同抗体陽性である慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーの詳細な症例報告論文としては本邦初であるが,振戦,免疫グロブリン大量静注療法抵抗性といった,比較的類似した臨床像を持つ一群である可能性が指摘されてきており,同抗体の検討は有効な治療選択の一助となる可能性がある....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 56; no. 9; pp. 633 - 636
Main Authors 飯塚, 奈都子, 結城, 伸泰, 市川, 博雄, 清水, 裕樹, 板谷, 一宏, 井上, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-000853

Cover

More Information
Summary:症例は17歳の男性である.徐々に上下肢の筋力低下を自覚し,走った際にバランスを崩すようになった.加えて姿勢時に手指の振戦が出現した.典型的慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーの病型に加えて,上肢の振戦と下肢の運動失調を認めたことから抗neurofascin-155抗体の関与を疑い,陽性であった.同抗体陽性である慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーの詳細な症例報告論文としては本邦初であるが,振戦,免疫グロブリン大量静注療法抵抗性といった,比較的類似した臨床像を持つ一群である可能性が指摘されてきており,同抗体の検討は有効な治療選択の一助となる可能性がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-000853