Stiff-person症候群やIsaacs症候群との鑑別を要した汎下垂体機能低下症の1例

症例は56歳女性.出産時大量出血した既往がある.53歳頃より両下肢の筋硬直と腰曲がりが徐々に出現した.初診時は股関節と膝関節の可動域制限があり,触診で下肢筋に硬直と疼痛を認めた.抗VGKC複合体抗体が弱陽性だったことから,stiff-person症候群やIsaacs症候群を疑ったがジアセパム内服に反応しなかった.一方,血液検査で内分泌学的異常を認めたため精査し,出産時出血後の汎下垂体機能低下症と診断した.ホルモン補充療法の開始後下肢筋の硬直が著明に改善した.汎下垂体機能低下症でstiff-person症候群様の症状を来す例を稀に認め,鑑別に挙げる必要がある....

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Published in臨床神経学 Vol. 57; no. 6; pp. 298 - 302
Main Authors 山口, 浩雄, 上原, 平, 山﨑, 亮, 山下, 謙一郎, 水野, 裕理, 吉良, 潤一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2017
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001008

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Summary:症例は56歳女性.出産時大量出血した既往がある.53歳頃より両下肢の筋硬直と腰曲がりが徐々に出現した.初診時は股関節と膝関節の可動域制限があり,触診で下肢筋に硬直と疼痛を認めた.抗VGKC複合体抗体が弱陽性だったことから,stiff-person症候群やIsaacs症候群を疑ったがジアセパム内服に反応しなかった.一方,血液検査で内分泌学的異常を認めたため精査し,出産時出血後の汎下垂体機能低下症と診断した.ホルモン補充療法の開始後下肢筋の硬直が著明に改善した.汎下垂体機能低下症でstiff-person症候群様の症状を来す例を稀に認め,鑑別に挙げる必要がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001008