慢性硬膜下血腫における脳血流量の検討

慢性硬膜下血腫の病態を解明するため, 一側性慢性硬膜下血腫例の術前術後の臨床症状とCBF (hemisphere)について検討し, 以下の結果を得た. 133Xe静注法による測定では, 1) 血腫側のCBFは全体として低下傾向にあつたが, 頭痛群・意識障害群においては, 片麻痺群と異なり左右差は明らかではなかつた. 2) 手術有効例のCBFは, 頭痛群・意識障害群では絶対値が, 片麻痺群では左右差が症状の改善をよく反映していた. 3) 片麻痺群においては, ISI値よりF-flow値の方が症状改善に対して鋭敏であつた. 4) 手術不応例では術前のCBFは正常値以下であり, 術後も増加していない...

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Published in医療 Vol. 42; no. 11; pp. 1017 - 1020
Main Authors 赤木, 功人, 山崎, 麻美, 堀部, 邦夫, 湯口, 貴導, 福田, 充宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1988
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.42.1017

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Summary:慢性硬膜下血腫の病態を解明するため, 一側性慢性硬膜下血腫例の術前術後の臨床症状とCBF (hemisphere)について検討し, 以下の結果を得た. 133Xe静注法による測定では, 1) 血腫側のCBFは全体として低下傾向にあつたが, 頭痛群・意識障害群においては, 片麻痺群と異なり左右差は明らかではなかつた. 2) 手術有効例のCBFは, 頭痛群・意識障害群では絶対値が, 片麻痺群では左右差が症状の改善をよく反映していた. 3) 片麻痺群においては, ISI値よりF-flow値の方が症状改善に対して鋭敏であつた. 4) 手術不応例では術前のCBFは正常値以下であり, 術後も増加していないことがわかつた. SPECT (IMP法)による測定では, 1) 血腫部分は欠損像となり, 血腫側の皮質下白質, 基底核部のCBFも低下傾向にあつた. 2) 血腫対側小脳半球のCBFも低下傾向を示し, 慢性硬膜下血腫における歩行障害はいわゆるcrossed cerebellar diaschisisによることも考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.42.1017