精神科病棟における薬剤師の役割 : 患者のQOL改善と薬剤費削減からのアプローチ

近年の薬剤師業務は, 調剤業務などの一般業務に加え, 服薬指導を中心とした薬剤管理指導業務に重点が置かれている. 薬剤管理指導業務における薬剤師の役割として最も重要なことは, 薬物療法に積極的に参加することにより, 薬剤師の職能を発揮することである. すなわち, 服薬指導により得られた情報と個々の薬剤の特徴を総合的に判断し, 医師を始めとした他の医療スタッフと連携をとりながら使用薬剤の変更や投与量の増減など薬剤の適正使用を推進して患者のQOL向上を図ることである. 最近では包括化医療が推進されていることから, 薬剤師は医療経済, 特に薬剤経済学の観点から薬剤管理指導業務を遂行し, 薬剤の有効性...

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Published in医療薬学 Vol. 31; no. 10; pp. 787 - 793
Main Authors 鍋島, 俊隆, 野田, 幸裕, 辻, 美江, 千崎, 康司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2005
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.31.787

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Summary:近年の薬剤師業務は, 調剤業務などの一般業務に加え, 服薬指導を中心とした薬剤管理指導業務に重点が置かれている. 薬剤管理指導業務における薬剤師の役割として最も重要なことは, 薬物療法に積極的に参加することにより, 薬剤師の職能を発揮することである. すなわち, 服薬指導により得られた情報と個々の薬剤の特徴を総合的に判断し, 医師を始めとした他の医療スタッフと連携をとりながら使用薬剤の変更や投与量の増減など薬剤の適正使用を推進して患者のQOL向上を図ることである. 最近では包括化医療が推進されていることから, 薬剤師は医療経済, 特に薬剤経済学の観点から薬剤管理指導業務を遂行し, 薬剤の有効性のみならず, その経費, cost-effectivenessについての知識を有することが必要とされている. また, 薬剤師業務と薬剤費の削減に関する論文がわが国でも散見される. わが国における精神科領域における薬物療法の特徴は, 長期多剤併用療法が中心となっている. 患者1人に対して使用される平均薬剤数は, 抗精神病薬2~3剤, 抗パーキンソン薬1~2剤, 抗不安薬, 睡眠薬1~2剤, 内科系薬1~2剤, 合計7~8剤であると報告されている1).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.31.787