肺癌放射線治療後に発生した両側総頸動脈閉塞性病変の1例
症例は,12年前に肺癌治療のため縦隔と右肺尖領域への総線量50Gyの放射線照射と摘出術を受け,7年前に左脳梗塞のため右半身麻痺,失語症を後遺した57歳男性.今回,意識消失発作にて当科入院.入院後の血管撮影で左総頸動脈起始部閉塞,右総頸動脈起始部狭窄,右鎖骨下動脈起始部閉塞を認めた.これらは全て放射線照射領域に限局しており,一連の多発性閉塞性血管病変をradiation-induced vasculopathy(RIV)と診断した.右総頸動脈狭窄進展による重篤な脳循環障害発生を防止するため,同狭窄に対してステントを用いた血行再建術を施行した.これまで肺癌例でのRIV発生は報告されていないが,本例...
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Published in | 脳卒中 Vol. 26; no. 3; pp. 449 - 452 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2004
日本脳卒中学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.26.449 |
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Summary: | 症例は,12年前に肺癌治療のため縦隔と右肺尖領域への総線量50Gyの放射線照射と摘出術を受け,7年前に左脳梗塞のため右半身麻痺,失語症を後遺した57歳男性.今回,意識消失発作にて当科入院.入院後の血管撮影で左総頸動脈起始部閉塞,右総頸動脈起始部狭窄,右鎖骨下動脈起始部閉塞を認めた.これらは全て放射線照射領域に限局しており,一連の多発性閉塞性血管病変をradiation-induced vasculopathy(RIV)と診断した.右総頸動脈狭窄進展による重篤な脳循環障害発生を防止するため,同狭窄に対してステントを用いた血行再建術を施行した.これまで肺癌例でのRIV発生は報告されていないが,本例により,放射線照射後の肺癌長期生存例も脳卒中high risk群とみ,早期発見,再発予防に努めるべき対象であることが示唆された. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.26.449 |