ニボルマブ投与後に発症した筋炎合併重症筋無力症の1剖検例
症例は84歳女性.腎細胞癌に対しニボルマブが投与された13日後より複視,眼瞼下垂,四肢脱力,嚥下障害が出現し,高CK血症を伴った.塩酸エドロフォニウム試験及び反復刺激検査での漸減現象から重症筋無力症と診断した.抗アセチルコリン受容体抗体は陰性であった.IVIg及びステロイドの投与にてCK値は正常化したが,身体症状は改善せず,呼吸不全で死亡された.剖検にて,腸腰筋と横隔膜の筋線維周囲にCD8陽性T細胞を主とした炎症細胞の浸潤が認められ,少数のCD4陽性T細胞も観察された.心筋に炎症細胞の浸潤を認めなかった.ニボルマブ投与後の筋炎合併重症筋無力症の剖検例は報告されておらず,貴重な症例と考えられた....
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| Published in | 臨床神経学 Vol. 59; no. 6; pp. 360 - 364 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本神経学会
2019
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
| DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001282 |
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| Summary: | 症例は84歳女性.腎細胞癌に対しニボルマブが投与された13日後より複視,眼瞼下垂,四肢脱力,嚥下障害が出現し,高CK血症を伴った.塩酸エドロフォニウム試験及び反復刺激検査での漸減現象から重症筋無力症と診断した.抗アセチルコリン受容体抗体は陰性であった.IVIg及びステロイドの投与にてCK値は正常化したが,身体症状は改善せず,呼吸不全で死亡された.剖検にて,腸腰筋と横隔膜の筋線維周囲にCD8陽性T細胞を主とした炎症細胞の浸潤が認められ,少数のCD4陽性T細胞も観察された.心筋に炎症細胞の浸潤を認めなかった.ニボルマブ投与後の筋炎合併重症筋無力症の剖検例は報告されておらず,貴重な症例と考えられた. |
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| ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
| DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001282 |