慢性硬膜下血腫により舞踏運動を発症した86歳女性例
症例は86歳女性.約2週間の経過で全身の舞踏運動を呈し,左頭頂部に慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma; CSDH)を認めた.アマンタジン内服中止で舞踏運動は改善せず,穿頭術施行後,舞踏運動は約1週間で完全に消失した.既報告では,本症例のように一側の血腫で全身の舞踏運動を呈する例や,血種と同側のhemichoreaを呈する例もあり,その発症機序は不明である.CSDHによる不随意運動は稀であることから,これらの症例は大脳皮質-基底核回路に潜在的な障害を持っている可能性がある.CSDHによる舞踏運動では,背景に脳血管障害や舞踏運動に関連する薬剤歴,家族歴などがないか検...
Saved in:
Published in | 臨床神経学 Vol. 58; no. 6; pp. 399 - 402 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2018
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001102 |
Cover
Summary: | 症例は86歳女性.約2週間の経過で全身の舞踏運動を呈し,左頭頂部に慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma; CSDH)を認めた.アマンタジン内服中止で舞踏運動は改善せず,穿頭術施行後,舞踏運動は約1週間で完全に消失した.既報告では,本症例のように一側の血腫で全身の舞踏運動を呈する例や,血種と同側のhemichoreaを呈する例もあり,その発症機序は不明である.CSDHによる不随意運動は稀であることから,これらの症例は大脳皮質-基底核回路に潜在的な障害を持っている可能性がある.CSDHによる舞踏運動では,背景に脳血管障害や舞踏運動に関連する薬剤歴,家族歴などがないか検索する必要があると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001102 |