齲歯が原因で生じた感染性海綿静脈洞血栓症とLemierre症候群の合併例

症例は54歳女性.入院1年前に齲歯の治療中断歴があり,今回頭痛と発熱,眼窩部の腫脹疼痛を主訴に当科入院.両眼瞼浮腫と眼球運動障害以外に神経学的異常をみとめなかった.血液検査では炎症反応,凝固線溶系マーカーが上昇し,MRI拡散強調画像で右上眼静脈から海綿静脈洞に高信号がみられ,造影CTで同部位に造影不良域をみとめたことから,感染性海綿静脈洞血栓症と診断した.血液培養の結果から齲歯による敗血症を原因とする海綿静脈洞血栓症(cavernous sinus thrombosis; CST)と診断した.抗菌薬と抗凝固療法で治療を開始し,症状は軽快,画像上海綿静脈洞内の血栓も縮小した.本症例はMRIと造影...

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Published in臨床神経学 Vol. 55; no. 7; pp. 483 - 489
Main Authors 坪井, 義夫, 工藤, 仁隆, 福原, 康介, 西田, 明弘, 緒方, 利安, 深江, 治郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2015
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-000676

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Summary:症例は54歳女性.入院1年前に齲歯の治療中断歴があり,今回頭痛と発熱,眼窩部の腫脹疼痛を主訴に当科入院.両眼瞼浮腫と眼球運動障害以外に神経学的異常をみとめなかった.血液検査では炎症反応,凝固線溶系マーカーが上昇し,MRI拡散強調画像で右上眼静脈から海綿静脈洞に高信号がみられ,造影CTで同部位に造影不良域をみとめたことから,感染性海綿静脈洞血栓症と診断した.血液培養の結果から齲歯による敗血症を原因とする海綿静脈洞血栓症(cavernous sinus thrombosis; CST)と診断した.抗菌薬と抗凝固療法で治療を開始し,症状は軽快,画像上海綿静脈洞内の血栓も縮小した.本症例はMRIと造影CTの画像所見からCSTを早期診断しえた貴重な症例である.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-000676