腹腔鏡下胆嚢摘出術例の検討

胆嚢摘出術は15cm前後の正中切開にて行われるのが一般的であるが, 今日手術創を可能な限り小さくし, 患者の肉体的精神的苦痛を軽減しようとする傾向がある. そこで最近経験した右肋弓下小切開胆嚢摘出例3例, および腹腔鏡下胆嚢摘出症例7例を検討した. 小切開胆嚢摘出術における皮膚切開は肥満度に従って長くなったが, 腹腔鏡下胆嚢摘出術では肥満による影響は比較的少なかった. 手術時間は両術式間に有意差を認めなかった. 両術式ともに従来の胆嚢摘出術に比較し術後の疼痛が少なく, 回復美容上共に優れていたが, 特に腹腔鏡下胆嚢摘出術はより優れていた. 合併症は小切開胆嚢摘出術では認められなかったが, 腹腔...

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Published in医療 Vol. 45; no. 12; pp. 1199 - 1204
Main Authors 荒田, 敦, 河野, 宏, 小林, 元壮, 後藤, 精俊, 真鍋, 康二, 小長, 英二, 柏谷, 昌昭, 竹内, 仁司, 仁科, 拓也, 大野, 聡, 川口, 憲二, 金岡, 祐司, 牧野, 泰裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1991
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.1199

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Summary:胆嚢摘出術は15cm前後の正中切開にて行われるのが一般的であるが, 今日手術創を可能な限り小さくし, 患者の肉体的精神的苦痛を軽減しようとする傾向がある. そこで最近経験した右肋弓下小切開胆嚢摘出例3例, および腹腔鏡下胆嚢摘出症例7例を検討した. 小切開胆嚢摘出術における皮膚切開は肥満度に従って長くなったが, 腹腔鏡下胆嚢摘出術では肥満による影響は比較的少なかった. 手術時間は両術式間に有意差を認めなかった. 両術式ともに従来の胆嚢摘出術に比較し術後の疼痛が少なく, 回復美容上共に優れていたが, 特に腹腔鏡下胆嚢摘出術はより優れていた. 合併症は小切開胆嚢摘出術では認められなかったが, 腹腔鏡下胆嚢摘出症例では1例に認められた. 重篤な合併症を防ぐためには術前画像診断による適応を正しく判断するとともに, 摘出困難例には早期に開腹による胆嚢摘出術に切り替えることが最も重要であると考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.1199