若年性鼻咽腔血管線維腫 —翼突管への進展の評価

過去3年間にわれわれはJNA手術例を3例経験した. 術前の画像診断では, すべての腫瘍は蝶口蓋孔付近に存在したが, 同時にその翼突管方向への進展と同部の拡大を認めた. 全例で手術に先立ち選択的動脈塞栓療法を行っているが, 1例では内頸動脈系の栄養血管の塞栓は困難であった. 全例で鼻内内視鏡下切除術を行った. 2例は内視鏡単独で切除したが, 残りの1例は犬歯窩切開の併用が必要であった. 術中には内頸動脈系の血管からの出血に対処する必要があり, それには二人の術者による4手操作が有用であった. 中鼻甲介下部の切除により, その後方に存在する翼突管や蝶口蓋孔付近の操作が容易になった. 鼻内内視鏡手術...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 115; no. 11; pp. 965 - 970
Main Authors 西池, 季隆, 前田, 秀典, 日尾, 祥子, 猪原, 秀典, 識名, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2012
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.115.965

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Summary:過去3年間にわれわれはJNA手術例を3例経験した. 術前の画像診断では, すべての腫瘍は蝶口蓋孔付近に存在したが, 同時にその翼突管方向への進展と同部の拡大を認めた. 全例で手術に先立ち選択的動脈塞栓療法を行っているが, 1例では内頸動脈系の栄養血管の塞栓は困難であった. 全例で鼻内内視鏡下切除術を行った. 2例は内視鏡単独で切除したが, 残りの1例は犬歯窩切開の併用が必要であった. 術中には内頸動脈系の血管からの出血に対処する必要があり, それには二人の術者による4手操作が有用であった. 中鼻甲介下部の切除により, その後方に存在する翼突管や蝶口蓋孔付近の操作が容易になった. 鼻内内視鏡手術は, ステージ早期のJNAに対する手術の第一選択として挙げられる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.115.965