後進降段動作の三次元解析

高齢者が自発的に後進降段動作で階段の降段を行っているという話はよく聞かれるが、それについての是非はあまり論じられていない.本報告は、後進降段動作の有効性について、三次元動作解析装置・床反力計を用いて検証とした.【対象】対象は健常男性12名(平均年齢23.3±5.4歳)とした.【方法】計測は三次元動作解析装置VICON MX、床反力計AMTIを用いて、15体節45点のマーカで剛体リンクモデルを用いて解析を行った.自作した4段の階段は、段差17cm、中2段に床反力計を用いて計測できるものとした.運動課題は、降段動作を前進、後進の2パターンとした.【結果】関節角度、関節モーメントに関して、前進降段動...

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Published inBiophilia Rehabilitation Conference Proceedings Vol. 2010; p. 31
Main Authors 藤原, 正之, 大森, 茂樹, 和久井, 鉄城, 倉林, 準, 八並, 光信, 河原, 常郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオフィリア リハビリテーション学会 2010
Biophilia Rehabilitation Academy
Subjects
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ISSN1884-8699
DOI10.14911/biophilia.2010.0.31.0

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Summary:高齢者が自発的に後進降段動作で階段の降段を行っているという話はよく聞かれるが、それについての是非はあまり論じられていない.本報告は、後進降段動作の有効性について、三次元動作解析装置・床反力計を用いて検証とした.【対象】対象は健常男性12名(平均年齢23.3±5.4歳)とした.【方法】計測は三次元動作解析装置VICON MX、床反力計AMTIを用いて、15体節45点のマーカで剛体リンクモデルを用いて解析を行った.自作した4段の階段は、段差17cm、中2段に床反力計を用いて計測できるものとした.運動課題は、降段動作を前進、後進の2パターンとした.【結果】関節角度、関節モーメントに関して、前進降段動作は、膝関節、足関節で大きな値を呈した.逆に後進降段動作は股関節で大きな値を呈した.COPは両降段動作の初期にCOGよりも先行して変位した.前進降段動作において、COPは立脚初期に一時逆行するが、COPとCOGの順位は変わらず変位した.後進降段動作においてCOPとCOGは立脚中期以降に逆転し、立脚後期にCOGが先行する特徴を呈した.COPとCOGは、後進後段動作の左右方向に関して、立脚初期に重なる特徴を呈した.【考察】後進降段動作は、前進降段動作と比較して、股関節を優位としたストラテジーを行っていると考えられた.後進後段動作は股関節優位のストラテジーを構成して、高齢者のバランスに問題がある場合や膝関節・足関節に問題がある場合などにおいて有効な方法だと考えられた.
ISSN:1884-8699
DOI:10.14911/biophilia.2010.0.31.0