超急性期からの脳卒中リハビリテーションのアウトカムに関わる要因について

今回,我々は杏林大学医学部付属病院脳卒中センターに入院した1128名中,超急性期(発症より3日以内)から1週間以上リハビテーションを行い,転帰先(自宅退院または転院)が明確であった脳卒中患者479名(男性282名,女性197名)を対象とした.本研究の目的は,目的変数を転帰先,説明変数を年齢,性別,入院期間,退院時FIM(各項目)としてデータマイニングの手法を用いて,転帰先(自宅:162名,転院:317名)を決定するような要因を明らかにすることである.解析には,SAS institute Japan社JMP8.0jのパーティションを用いた.また,枝分かれの最終分岐はR2の変化率が小さく,臨床的説...

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Published inBiophilia Rehabilitation Conference Proceedings Vol. 2010; p. 45
Main Authors 東條, 友紀子, 高橋, 秀寿, 塩川, 芳昭, 岡島, 康友, 神山, 裕司, 倉林, 準, 西山, 和利, 門馬, 博, 八並, 光信, 松本, 由美, 千葉, 厚郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオフィリア リハビリテーション学会 2010
Biophilia Rehabilitation Academy
Subjects
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ISSN1884-8699
DOI10.14911/biophilia.2010.0.45.0

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Summary:今回,我々は杏林大学医学部付属病院脳卒中センターに入院した1128名中,超急性期(発症より3日以内)から1週間以上リハビテーションを行い,転帰先(自宅退院または転院)が明確であった脳卒中患者479名(男性282名,女性197名)を対象とした.本研究の目的は,目的変数を転帰先,説明変数を年齢,性別,入院期間,退院時FIM(各項目)としてデータマイニングの手法を用いて,転帰先(自宅:162名,転院:317名)を決定するような要因を明らかにすることである.解析には,SAS institute Japan社JMP8.0jのパーティションを用いた.また,枝分かれの最終分岐はR2の変化率が小さく,臨床的説明がつかない点をもって終了とした.その結果,5つの組み合わせが抽出された.第1グループは,FIMのトイレ動作が6以下かつFIM歩行3以下かつ年齢が88歳未満である場合(度数:156名,自宅0%,転院100%).第2グループは,FIMのトイレ動作が6以下かつFIM歩行3以下かつ年齢が88歳以上である場合(度数:27名,自宅15%,転院85%).第3グループは,FIMのトイレ動作が6以下かつFIM歩行4以上である場合(度数:125名,自宅20%,転院80%).第4グループは,FIMのトイレ動作が7かつ入院日数が24日以上である場合(度数:61名,自宅49%,転院51%).第5グループは,FIMのトイレ動作が7かつ入院日数が24日未満である場合(度数:110名,自宅94%,転院6%).R2は,0.54であった.以上の結果より,転院か自宅退院かは,トイレ動作の自立が大きく寄与しており,トイレ動作が自立しておらず,歩行レベルが中等度介助以上であれば,100%近くが転院という転帰をたどっていることがわかった.また、トイレ動作が完全自立していても,約3週間以上の入院日数を押し上げるような,何らかの要因があれば,自宅退院の可能性は約50%に下がってしまうことが示唆された.今後,各グループの特性について検討していきたい.
ISSN:1884-8699
DOI:10.14911/biophilia.2010.0.45.0