界面活性剤による輸液セットからのジエチルヘキシルフタレートの溶出の検討

目的 現在, 医療現場で繁用されているポリ塩化ビニル製の輸液セットなどの医療用具は, そのほとんどが可塑剤としてジエチルヘキシルフタレート(DEHP)を含有している. しかし, DEHPは内分泌撹乱作用を有すると疑われている化学物質であり, 体内に入ることは極力避けなければならない. 一方, 難溶性薬物であるシクロスポリンは可溶化剤として, ポリオキシエチレンヒマシ油が使用されている. ポリ塩化ビニル製(PVC)の容器あるいは輸液セットを用いて, シクロスポリンを使用した場合, 主薬が容器および輸液セットに吸着し, 含量低下を起こすこと, さらに注射剤に含まれている可溶化剤の影響によって輸液セ...

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Published in医療薬学 Vol. 30; no. 3; pp. 180 - 184
Main Authors 北田, 光一, 中澤, 一純, 河野, 健治, 中村, 安孝, 大森, 栄, 中島, 新一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2004
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.30.180

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Summary:目的 現在, 医療現場で繁用されているポリ塩化ビニル製の輸液セットなどの医療用具は, そのほとんどが可塑剤としてジエチルヘキシルフタレート(DEHP)を含有している. しかし, DEHPは内分泌撹乱作用を有すると疑われている化学物質であり, 体内に入ることは極力避けなければならない. 一方, 難溶性薬物であるシクロスポリンは可溶化剤として, ポリオキシエチレンヒマシ油が使用されている. ポリ塩化ビニル製(PVC)の容器あるいは輸液セットを用いて, シクロスポリンを使用した場合, 主薬が容器および輸液セットに吸着し, 含量低下を起こすこと, さらに注射剤に含まれている可溶化剤の影響によって輸液セットからDEHPが溶出することが報告されている1-3). DEHPは, 動物実験において毒性を示す4,5)という報告がされている. さらに, 環境庁においても内分泌撹乱作用を有すると疑われる化学物質として指定されており6)注意が必要とされている. また, DEHPの溶出量は可溶化剤の濃度, 流速, チューブの長さ, 種類において変化することが報告されており3), 実際の点滴条件においてのDEHPの溶出濃度および総溶出量の溶出特性についての把握が重要であると考えられる.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.30.180