十二指腸病変を認めた家族性大腸腺腫症の1例
患者は47歳女性. 1980年, 血便を主訴として受診し, 大腸にびまん性にポリープと上部直腸に癌腫を認め, 拡大結腸左半切除術を施行した. 術後癌の再発を認めることなく経過したため, 1985年10月残存結腸切除, 直腸粘膜切除, 回腸肛門管吻合術を行った. 術後, 軟便が1日5~6回あるものの日常生活には困難を感ずることなく順調に経過していた. 1994年8月嘔気, 嘔吐, 貧血などを訴え, 十二指腸Vater乳頭部癌を認め, 9月膵頭十二指腸切除術を行った. 組織学的には中分化管状腺癌であり, 他に十二指腸に多発するtubular adenomaとその一部にcancer in adeno...
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Published in | 医療 Vol. 50; no. 12; pp. 849 - 852 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1996
国立医療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.50.849 |
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Summary: | 患者は47歳女性. 1980年, 血便を主訴として受診し, 大腸にびまん性にポリープと上部直腸に癌腫を認め, 拡大結腸左半切除術を施行した. 術後癌の再発を認めることなく経過したため, 1985年10月残存結腸切除, 直腸粘膜切除, 回腸肛門管吻合術を行った. 術後, 軟便が1日5~6回あるものの日常生活には困難を感ずることなく順調に経過していた. 1994年8月嘔気, 嘔吐, 貧血などを訴え, 十二指腸Vater乳頭部癌を認め, 9月膵頭十二指腸切除術を行った. 組織学的には中分化管状腺癌であり, 他に十二指腸に多発するtubular adenomaとその一部にcancer in adenomaを認めた. 本症例は, 現時点では家族内に他に大腸腺腫症患者を認めないsporadic caseである. 大腸腺腫症は上部消化管にも隆起性病変を随伴し, 時に癌の発生を認める. 従来診断に際し大腸のみに注目してきたが, 術後経過を含め上部消化管の精査は必須である. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.50.849 |