MRAが前大脳動脈解離の診断・経時的評価に有用であった1例

MRAによって解離性の脳血管変化をとらえることができた1例を経験した.症例は53歳男性.左下肢の急性運動麻痺にて入院した.入院時のdiffusion MRIにて右前大脳動脈領域に一致した領域に脳梗塞像を認めた.また入院時のMRAにおいて右前大脳動脈A2部に血管壁の不整像および二腔構造の一部の所見が観察され解離を強く疑うことができた.抗血小板療法とともにリハビリを行ったところ,入院1カ月後には独歩可能となった.脳血管造影においてMRAで認められたA2部の異常部位が明らかな二腔構造を呈しており同領域の脳動脈解離であることを確認した.また経時的に施行したMRAにおいて,入院時不整であった部位が途絶様...

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Published in脳卒中 Vol. 27; no. 3; pp. 419 - 423
Main Authors 千田, 穣, 辻本, 昌史, 橋詰, 淳, 両角, 佐織, 長谷川, 康博, 須賀, 徳明, 冨田, 稔, 安井, 敬三, 柳, 務
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2005
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.27.419

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Summary:MRAによって解離性の脳血管変化をとらえることができた1例を経験した.症例は53歳男性.左下肢の急性運動麻痺にて入院した.入院時のdiffusion MRIにて右前大脳動脈領域に一致した領域に脳梗塞像を認めた.また入院時のMRAにおいて右前大脳動脈A2部に血管壁の不整像および二腔構造の一部の所見が観察され解離を強く疑うことができた.抗血小板療法とともにリハビリを行ったところ,入院1カ月後には独歩可能となった.脳血管造影においてMRAで認められたA2部の異常部位が明らかな二腔構造を呈しており同領域の脳動脈解離であることを確認した.また経時的に施行したMRAにおいて,入院時不整であった部位が途絶様になり回復していく所見をとらえた.本症例は無侵襲であるMRAが脳動脈解離を診断し,経過を見るうえで有用であった貴重な症例と考える.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.27.419