脳卒中片麻痺者の非麻痺側膝伸展筋力と移動動作の関連

脳卒中片麻痺者の非麻痺側下肢筋力と動作能力の関連について検討した.対象は維持期にある脳卒中片麻痺者275名(男性174名,女性101名,年齢65.8歳)である.これらの対象者について,非麻痺側膝伸展筋力と連続歩行・椅子からの立ち上り(40cm台),床からの立ち上り・階段昇降の可否について調査・測定した.膝伸展筋力体重比が0.55kgf/kgを上回る場合,全例歩行が自立した.同様に,0.60kgf/kgを上回る場合,椅子からの立ち上りが全例自立した.0.70kgf/kgを上回る場合,90%以上の症例で床からの立ち上り,階段昇降が自立した.これ以下の筋力では,筋力低下にしたがって自立者の割合は低下...

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Published in高知リハビリテーション学院紀要 Vol. 12; pp. 29 - 33
Main Authors 松村, 文雄, 川渕, 正敬, 西森, 知佐, 加納, 宏実, 小笠原, 正, 山﨑, 裕司, 瀧下, あゆみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院 31.03.2011
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ISSN1345-5648
2433-4553
DOI10.15028/kochireha.12.0_29

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Summary:脳卒中片麻痺者の非麻痺側下肢筋力と動作能力の関連について検討した.対象は維持期にある脳卒中片麻痺者275名(男性174名,女性101名,年齢65.8歳)である.これらの対象者について,非麻痺側膝伸展筋力と連続歩行・椅子からの立ち上り(40cm台),床からの立ち上り・階段昇降の可否について調査・測定した.膝伸展筋力体重比が0.55kgf/kgを上回る場合,全例歩行が自立した.同様に,0.60kgf/kgを上回る場合,椅子からの立ち上りが全例自立した.0.70kgf/kgを上回る場合,90%以上の症例で床からの立ち上り,階段昇降が自立した.これ以下の筋力では,筋力低下にしたがって自立者の割合は低下し,膝伸展筋力体重比が0.30kgf/kgを下回る場合,すべての動作において自立者はいなかった.0.30から0.65kgf/kgの筋力区分では,歩行・椅子からの立ち上りに比べ,床からの立ち上り,階段昇降の自立者は少なかった.脳卒中片麻痺者の動作自立には少なくとも0.30kgf/kg以上の膝伸展筋力が必要であり,その動作によって必要な筋力水準が異なることが示された.
ISSN:1345-5648
2433-4553
DOI:10.15028/kochireha.12.0_29