血液製剤管理システムの構築と評価
「緒言」血液製剤は, 人体の一部である血液を原料としていることから, 有効利用および適正使用が強く求められている. 一方, 血液製剤によるヒト免疫不全ウイルス(HIV), B型肝炎ウイルス(HBV), C型肝炎ウイルス(HCV)の発症が報告され1), 血液製剤の安全対策として液状加熱処理やナノフィルトレーション等のウイルス除去対策が実施されている. しかし, これらの安全対策を図ったとしても, 未知のウイルスによる汚染に対し絶対的な安全性を保証できるものではなく, 汚染が疑われた場合には当該薬品を施用した患者の特定など早期対応が必要である. このため厚生労働省は平成9年6月の薬企第55号薬安第...
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Published in | 医療薬学 Vol. 28; no. 6; pp. 623 - 629 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2002
日本医療薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
DOI | 10.5649/jjphcs.28.623 |
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Summary: | 「緒言」血液製剤は, 人体の一部である血液を原料としていることから, 有効利用および適正使用が強く求められている. 一方, 血液製剤によるヒト免疫不全ウイルス(HIV), B型肝炎ウイルス(HBV), C型肝炎ウイルス(HCV)の発症が報告され1), 血液製剤の安全対策として液状加熱処理やナノフィルトレーション等のウイルス除去対策が実施されている. しかし, これらの安全対策を図ったとしても, 未知のウイルスによる汚染に対し絶対的な安全性を保証できるものではなく, 汚染が疑われた場合には当該薬品を施用した患者の特定など早期対応が必要である. このため厚生労働省は平成9年6月の薬企第55号薬安第72号「血液製剤に関する記録の保管管理」についての通知により, 医療機関に対し同年9月より血液製剤管理簿の作成と10年間の保管管理を中心とした血液製剤ロット管理を義務づけた2, 3). 有害事象発生時の早期対応を目的とした血液製剤管理では, 払出返品ごとに血液製剤1本1本のロット管理が必要となり, 「麻薬向精神薬の取り扱い」4)またはそれ以上に厳重な取り扱いが要求されることとなった. 山梨医科大学医学部附属病院(以下, 当院と略す)では, 血液製剤管理に関わる業務量の軽減と精度の向上を目的として薬剤部電算機の薬剤部注射薬払い出しシステムに発注入庫システムの入庫薬品ロット管理システムをリンクさせて, 血液製剤施用確認票(以下, 施用確認票と略す)に患者基本情報, 薬品名, ロット番号などの大部分を自動出力を可能とし, さらに有害事象発生時の個人情報の追跡を可能とした血液製剤管理システムを構築した. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.28.623 |