突発完成型の横断性脊髄症をきたし線維軟骨塞栓症を可能性の一つと考えた脊髄梗塞の1例

症例は44歳男性.食事中に突然の肩甲背部痛が生じ,その後両下肢の完全弛緩性麻痺,第6胸髄髄節レベル以下の表在覚・深部覚の完全脱失,膀胱直腸障害を生じた.造影CTで大動脈,Adamkiewicz動脈に異常.MRIで第2~6胸髄に広範な拡散強調画像高信号域がみられ,同部位のT2高信号域は経時的に拡大した.免疫治療に反応なく,脊髄梗塞と診断した.塞栓源検索を行ったが明らかな異常なく,椎間板の変性とSchmorl結節を認め,脊髄梗塞の原因として椎間板線維軟骨を塞栓源とする線維軟骨塞栓症を疑った.突発完成型の脊髄障害では線維軟骨塞栓症による脊髄梗塞も可能性の一つとしてあげられる....

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Published in臨床神経学 Vol. 61; no. 1; pp. 33 - 38
Main Authors 松瀬, 大, 田中, 弘二, 居積, 晃希, 山﨑, 亮, 吉良, 潤一, 今村, 裕祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2021
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001520

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Summary:症例は44歳男性.食事中に突然の肩甲背部痛が生じ,その後両下肢の完全弛緩性麻痺,第6胸髄髄節レベル以下の表在覚・深部覚の完全脱失,膀胱直腸障害を生じた.造影CTで大動脈,Adamkiewicz動脈に異常.MRIで第2~6胸髄に広範な拡散強調画像高信号域がみられ,同部位のT2高信号域は経時的に拡大した.免疫治療に反応なく,脊髄梗塞と診断した.塞栓源検索を行ったが明らかな異常なく,椎間板の変性とSchmorl結節を認め,脊髄梗塞の原因として椎間板線維軟骨を塞栓源とする線維軟骨塞栓症を疑った.突発完成型の脊髄障害では線維軟骨塞栓症による脊髄梗塞も可能性の一つとしてあげられる.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001520