断煙者のFEV1/FVC (%) は, 喫煙者よりも低下しにくいのか?

緒言 喫煙の健康に及ぼす影響については長い研究の歴史があり, 肺がんなどの悪性腫瘍1,2), 虚血性心疾患3,4)などの主要な原因となることが報告されている. さらに, 受動喫煙によっても, これら悪性腫瘍5,6)および虚血性心疾患発症7)の危険性が上昇することが報告されている. 一方, 喫煙は高齢者よりも若年者において, より強く動脈硬化を促進することが知られており8), 青少年の喫煙や受動喫煙の問題が取りざたされているところである. 呼吸機能の障害は, 一般に閉塞性障害と拘束性障害に分けられ, 喫煙は閉塞性呼吸機能障害をきたすと考えられている. 閉塞性呼吸障害の中でも, 慢性閉塞性肺疾患(...

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Published in医療薬学 Vol. 31; no. 3; pp. 173 - 178
Main Authors 松井, ひろみ, 西, 恵子, 金本, 郁男, 守内, 匡, 松田, 芳美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2005
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.31.173

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Summary:緒言 喫煙の健康に及ぼす影響については長い研究の歴史があり, 肺がんなどの悪性腫瘍1,2), 虚血性心疾患3,4)などの主要な原因となることが報告されている. さらに, 受動喫煙によっても, これら悪性腫瘍5,6)および虚血性心疾患発症7)の危険性が上昇することが報告されている. 一方, 喫煙は高齢者よりも若年者において, より強く動脈硬化を促進することが知られており8), 青少年の喫煙や受動喫煙の問題が取りざたされているところである. 呼吸機能の障害は, 一般に閉塞性障害と拘束性障害に分けられ, 喫煙は閉塞性呼吸機能障害をきたすと考えられている. 閉塞性呼吸障害の中でも, 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺や気道における広範な病変により非可逆性の気道閉塞を示す病態である. 本病態を示す疾患には慢性気管支炎と肺気腫があるが, いずれも長期間の喫煙がその病因とされている. それら疾患の診断基準の一つに時間肺活量1秒率(FEV1/FVC(%))が用いられており, その閉塞性換気障害が非可逆性か否かの判断基準としては気管支拡張薬吸入後のFEV1改善量, 改善率が目安とされている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.31.173