造影剤による腎機能低下の予防を目的としたアセチルシステインゼリーの調製と評価

緒言 心臓血管造影(CAG:coronary angiography)時の造影剤の投与は急性腎機能低下の発生を誘発することがある. 原因は造影剤によるエンドセリンやアデノシンの放出の誘導と, 尿中の窒素酸化物の変質による腎血行動態の変化や生成する反応性酸素種(酸素フリーラジカル)による尿細管上皮細胞への直接毒性であるといわれている1,2). 造影剤による腎機能低下を予防する方法の1つとして, 活性酸素による組織障害を防ぐ酸化防止剤であるアセチルシステイン(以下, ACと略す)が投与されてきた1-5). しかしながら, AC内用液は硫黄臭の特異なにおいがあり, 味は塩からく, また, えぐみがあ...

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Published in医療薬学 Vol. 31; no. 5; pp. 355 - 359
Main Authors 金内, 美妃, 新里, 利香, 郡, 修徳, 須田, 範行, 宮崎, 勝巳, 菅原, 満, 清川, 真美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2005
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.31.355

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Summary:緒言 心臓血管造影(CAG:coronary angiography)時の造影剤の投与は急性腎機能低下の発生を誘発することがある. 原因は造影剤によるエンドセリンやアデノシンの放出の誘導と, 尿中の窒素酸化物の変質による腎血行動態の変化や生成する反応性酸素種(酸素フリーラジカル)による尿細管上皮細胞への直接毒性であるといわれている1,2). 造影剤による腎機能低下を予防する方法の1つとして, 活性酸素による組織障害を防ぐ酸化防止剤であるアセチルシステイン(以下, ACと略す)が投与されてきた1-5). しかしながら, AC内用液は硫黄臭の特異なにおいがあり, 味は塩からく, また, えぐみがあることから6), 患者にとってその服用は苦痛であった. 一方, ゼリー製剤は水を必要とせず咀嚼して服用できる7). さらに, 各種フレーバーの使用により薬物由来の苦味を緩和することも可能である. 本研究では, 患者のコンプライアンスの向上を目的として内用液に代わる剤形としてゲル化剤を用いたゼリー製剤の調製を試みた.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.31.355