早期発症型歯周炎を伴った母娘症例の細菌叢, ならびに宿主防御機能に関する研究
早期発症型歯周炎は宿主一寄生体相互作用の概念から注目される。家族性に発症した早期発症型歯周炎の1症例に対し, 細菌学的ならびに宿主防御機能の面から検索を行った。38歳の母親は, 重篤な歯肉の炎症症状と進行した骨破壊を呈し, 重度進行性歯周炎と診断した。16歳の娘は, 歯肉の炎症はないが, 局所的骨破壊が進行し, 限局型若年性歯周炎と診断した。母のポケットでは, 桿状菌とスピロヘータが高率を占めた。娘のポヶット内も, 桿状菌の占有率は高いが, スピロヘータは少なかった。母娘ともに優勢菌はFusobacterium種であった。A. actinomycetemcomitansは検出されなかった。体液...
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| Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 29; no. 2; pp. 492 - 505 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
1987
日本歯周病学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0385-0110 1880-408X |
| DOI | 10.2329/perio.29.492 |
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| Summary: | 早期発症型歯周炎は宿主一寄生体相互作用の概念から注目される。家族性に発症した早期発症型歯周炎の1症例に対し, 細菌学的ならびに宿主防御機能の面から検索を行った。38歳の母親は, 重篤な歯肉の炎症症状と進行した骨破壊を呈し, 重度進行性歯周炎と診断した。16歳の娘は, 歯肉の炎症はないが, 局所的骨破壊が進行し, 限局型若年性歯周炎と診断した。母のポケットでは, 桿状菌とスピロヘータが高率を占めた。娘のポヶット内も, 桿状菌の占有率は高いが, スピロヘータは少なかった。母娘ともに優勢菌はFusobacterium種であった。A. actinomycetemcomitansは検出されなかった。体液性免疫応答は, 母娘ともにA. actinomyoetemcomitans, B. gingivalis, F. nucleatumに対して高いIgG抗体反応で示された。好中球機能は, 母は貪食能において, 娘は貪食能と遊走能において低下があった。母娘の病態は酷似しており, 発症のメカニズムが同じであると推測される。 |
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| ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
| DOI: | 10.2329/perio.29.492 |