抗IgA抗体によると思われる輸血副作用の1症例
非溶血性輸血副作用には, 発熱, 蕁麻疹等の軽微なものが多いが, アナフィラキシー, ショックなど重篤な副作用も希に認められる. しかし, 現状では多くの症例で, 輸血との因果関係や原因抗原等の充分な検索がなされておらず, 原因究明のための検査が望まれる. IgA欠損者に産生された抗IgA抗体が輸血副作用の発生原因と推定される症例が, 欧米を中心に数多く報告されている1)2). IgA欠損症は, 欧米では700~1,000人に1人と高頻度で見出され3), 本邦においても12,500~20,000人に1人と4)5), 欧米に比べて少ないものの存在し, 輸血に伴うアナフィラキシー発生症例も報告され...
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| Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 3; pp. 419 - 424 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
2004
日本輸血学会 |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0546-1448 1883-8383 |
| DOI | 10.3925/jjtc1958.50.419 |
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| Summary: | 非溶血性輸血副作用には, 発熱, 蕁麻疹等の軽微なものが多いが, アナフィラキシー, ショックなど重篤な副作用も希に認められる. しかし, 現状では多くの症例で, 輸血との因果関係や原因抗原等の充分な検索がなされておらず, 原因究明のための検査が望まれる. IgA欠損者に産生された抗IgA抗体が輸血副作用の発生原因と推定される症例が, 欧米を中心に数多く報告されている1)2). IgA欠損症は, 欧米では700~1,000人に1人と高頻度で見出され3), 本邦においても12,500~20,000人に1人と4)5), 欧米に比べて少ないものの存在し, 輸血に伴うアナフィラキシー発生症例も報告され6)7), 輸血副作用発生のリスク因子と考えられる. 当院では, 輸血副作用の原因究明のため, 主治医より依頼のあった症例については日本赤十字社血液センターへ検体を提出し, 原因を追及するとともに今後の輸血副作用の予防に努めている. 今回我々は, 血小板輸血直後に血圧低下とショック状態を発症した患者がIgA欠損で, 輸血前の検体より抗IgA抗体が検出され, 副作用の原因となったことが示唆されたので報告する. |
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| ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
| DOI: | 10.3925/jjtc1958.50.419 |